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動物園でもおなじみ!夢を食べるバクと赤ちゃんの模様

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バク

世の中に草木を食べる草食動物、他の生物を食べる肉食動物がいますが、今回紹介するバクは夢を食べるといわれています。動物園でも比較的よく見ることができる動物ですが、なぜこのような話が広まったのでしょうか、バクの生態とともにご紹介していきたいと思います。

バクはパンダだった?バクが夢を食べるといわれる由来

獏

冒頭でもご紹介した通り、バクは夢を食べる動物といわれていますが実際に動物園でもお馴染みのバクは果実や野菜、木の枝や葉を食べる草食動物です。
なぜバクが夢を食べるといわれているのでしょうか。
バクが夢を食べるという伝説が生まれたのは中国です。中国の伝説でのバクは漢字で「獏」と表記され、動物園で見ることができるバクとは異なる架空の動物です。
中国の獏伝説では獏は守護獣として悪霊を払うと信じられ、バクの毛皮を寝具などに用いたり、唐の時代には屏風に絵を描くことで邪気を払うと考えられていました。この伝説が室町時代ごろに日本に伝わった際に「悪夢を食べる」という話に転じたと考えられています。
今から2000年以上前の秦の時代に編纂された辞書「爾雅(じが)」でもバクは登場しており、「白黒で竹を食べるクマのような動物」として紹介されています。
紹介された特徴からピンときた方も多いとは思いますが、獏はジャイアントパンダを指していたのではないかと考えられています。このころの獏は文献によっては鉄を食べるとも考えられていたようです。
唐の時代の中国で活躍した詩人である白居易の著作によると獏の姿は鼻はゾウ、目はサイ、尾はウシ、足はトラにそれぞれ似ているとされています。
アジアに生息するマレーバクはこの白居易の紹介した獏によく似ており、なおかつ秦の時代から知られていた特徴である白黒の体色であったことからバクの名前が付けられたのです。

アリクイにも似ているバクの種類と生態

バクに似ているアリクイ

バクはウマやサイの仲間が属する奇蹄目の動物の仲間です。奇蹄目の動物にゾウの仲間を加えた有蹄目の動物の中で最も原始的な特徴を持つのがバクです。
バクは上述した東南アジアのほか、南北アメリカ大陸に生息しており、バクの仲間のなかで最もメジャーでその名前のとおりマレー半島やインドネシアのスマトラ島などに生息している白黒の体色が特徴のマレーバク、茶色の体色でブラジルに多く生息していることから「ブラジルバク」とも呼ばれるアメリカバク、メキシコ南部などに生息し大型のベアードバク、南米の山岳地帯に生息するバクの仲間の中で最小のヤマバクの4種類に分類することができます。
バクの特徴として体毛がほとんど見られないのですが、高地に生息するヤマバクは寒さに対応するため体毛に覆われています。
バクの鼻はゾウによく似ており上唇とともに伸びている構造もゾウと同じでものをつかむことができます。
バクは泳ぎも得意で、外敵に狙われたときは水中に避難し長い鼻をシュノーケルのように使うこともあるようです。
バクはゾウのほかに、アリクイにも似ていると度々言われていますが、鼻が長いバクに対し、アリクイは口が長く発達しています。またアリクイは最大の種類であるオオアリクイでも1メートル前後であるのに対して、バクは1.7メートルから2メートルと大きさにも違いがあります。

マレーバクの赤ちゃんはなぜ特徴的な模様に?

バクの赤ちゃん

日本の動物園でも広く見ることができるマレーバク。動物園内で赤ちゃんが生まれたというニュースも度々あり、実際にマレーバクの赤ちゃんを動物園でも見たことがある方も多いと思いまうす。
マレーバクの成体は白黒の体色が特徴的ですが、赤ちゃんのほうは黒い体に白いまだらや縞の模様を持っています。
その模様がイノシシの赤ちゃんと似ていることから「ウリボウ柄」とも呼ばれることもあるようですが、なぜバクの赤ちゃんはこのような模様で生まれてくるのでしょうか。
これは他の多くの動物と同じく擬態のためで、黒と白の独特の体色はジャングルの木漏れ日の中に身を隠すのに便利な模様なのです。
マレーバクの赤ちゃんは6ヶ月ほどで少しずつ成体と同じような体色に変化していきます。

野生環境のバクは自然環境の開発もあり個体数も減少しているようです。伝説上では霊獣として悪霊を払うとも言われていたバクを今度は人間のほうが守っていかなければならないのではないでしょうか。

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