
いつの時代も喜ばしい出来事といえば子宝に恵まれることではないでしょうか。古くから赤ちゃんを運んでくる鳥として有名なのがコウノトリです。
しかし、現在市のコウノトリの数が減り絶滅の危機に瀕しているようです。今回はそんなコウノトリについてご紹介していきたいと思います。
赤ちゃんはキャベツ畑から生まれコウノトリが運ぶ?

小さな子供から「赤ちゃんはどこからくるの」と尋ねられた際、困った世界中の大人は様々ない言い訳をしました。
スコットランドを中心としたヨーロッパでは赤ちゃんはキャベツ畑からやってくるといわれていますが、世界中でもっとも盛んに言われているのが赤ちゃんはコウノトリが運んでくるというものでした。
コウノトリが赤ちゃんを運んでくるというイメージが広まった一因にはデンマークの童話作家アンデルセンの存在が挙げられます。アンデルセンの短編作品「沼の王の娘」に子どものいないヴァイキングの夫婦にコウノトリが子どもを届けるという描写があり、広く知られるようになったのではないでしょうか。
ただし、日本に生息するコウノトリはヨーロッパに生息しておらずヨーロッパで赤ちゃんを運んでくる鳥はコウノトリの近縁種であるシュバシコウであるといわれています。
シュバシコウは「赤いくちばしのコウノトリ」という意味で、日本ではヨーロッパの伝承にちなみ日本で見られる近縁種のコウノトリのことを赤ちゃんを連れてくる鳥して伝わったようです。
コウノトリは野生個体絶滅の天然記念物

赤ちゃんを運んでくる鳥として縁起の良いイメージのあるコウノトリですが、実は日本国内の野生個体は絶滅をしてしまいました。
日本国内だけではなく、韓国でも繁殖個体群は1971年に絶滅するなど世界中で絶滅が危惧されており、ワシントン条約でも保護されています。
コウノトリは日本や中国、朝鮮半島などの東アジアのほかロシアの南東部に分布しており、夏はロシアのアムール川などで繁殖をし冬は日本や台湾などで越冬をする冬鳥です。
かつては日本に広く分布しており水田や湿地帯での食物連鎖の頂点に君臨していましたが、明治時代以降、水田の稲を踏み荒らすという理由や解禁された狩猟の対象になり乱獲されたほか強力な農薬の影響、第二次世界大戦前後の食糧難で食用にされるなどで数を減らしてしまい1971年に国内の野生個体は絶滅してしまいました。
コウノトリの郷の努力で野生復帰し足輪で管理

コウノトリの野生個体が最後に捕獲された兵庫県豊岡市では、捕獲した個体やロシアから譲り受けた繁殖させ、野生に復帰させる取り組みを行っています。
コウノトリの繁殖は困難を極めますが、1988年に東京の多摩動物公園で国内初のコウノトリの繁殖に成功するとコウノトリの郷内の飼育場でも繁殖に成功し、個体数を徐々に増やすことに成功。
2005年からはコウノトリの放鳥が行われました。2007年には野外でのヒナが巣立ったのが初めて確認され、以後も野外での繁殖が繰り返されています。
放鳥したコウノトリには足輪が付けられ個体が識別されており、個体の移動や生死の確認に役立てられています。
一時的に日本の空から姿を消したコウノトリですが、人々の努力によって野生の個体を復活させることができました。
また、コウノトリの郷がある兵庫県豊岡市にある但馬飛行場にはコウノトリ但馬空港という愛称が付けられています。
このことからも赤ちゃんを運んでくるという縁起のいいコウノトリが人々に愛されていることがよくわかるのではないでしょうか。