
海の中には多くの生物が生息していますが、中には個性的な見た目をしている生き物もいます。
タツノオトシゴはそんな生き物の一種ではないでしょうか。
今回は個性的な形と名前がかわいいタツノオトシゴについてご紹介していきたいと思います。
タピオカ店でもお馴染み!かわいいタツノオトシゴは何の仲間?

不思議な形が特徴の海の生き物であるタツノオトシゴ。近年のタピオカブームの中で人気を博している辰杏珠のロゴでもお馴染みになるほど人々によく知られた存在です。
そんなポピュラーなタツノオトシゴですが何の仲間の生き物なのでしょうか。
タツノオトシゴの生物学上の分類はヨウジウオ科タツノオトシゴ属に分類される魚とされており、形からは想像しにくいですが、れっきとした魚の一種なのです。
タツノオトシゴの仲間である、ヨウジウオはその名のとおり楊枝を思わせるような細長い体をもち、口も細長い構造をしており、タツノオトシゴとの近縁種であることを思わせます。
タツノオトシゴはその独特な形がウマを連想させることから、「ウミウマ」という別名もあり、学名の「Hippocampus」もギリシャ神話に登場する半馬半魚の怪物が元になっています。
愛のシンボル・タツノオトシゴの珍しい出産と生まれ方

独特な形を持つタツノオトシゴは2匹のタツノオトシゴが向かい合わせに重なるとまるでハートのような形になります。この姿がとても可愛らしくタツノオトシゴのハートがデザインされたグッズも人気を博しています。
この向かい合わせになった姿こそがタツノオトシゴの求愛行動であり、「タツノオトシゴのダンス」とも呼ばれ、体を固定するため海底やときには相手に丸まった尾を絡ませます。
タツノオトシゴは動物の中でも珍しい出産をすることでも知られており、この求愛行動の最中にメスはオスのおなかにある育児嚢の中に卵を産卵します。
多くの生き物はメスが子どもを出産するのですが、タツノオトシゴはオスがお腹のなかで卵を育て、ある程度まで育つと稚魚を出産するのです。
タツノオトシゴのオスは一度に数十匹から数百匹の稚魚をお腹の中から放出するように出産します。その姿は神秘的な一方で父子ともに命を落とす可能性のある壮絶なものなのです。
タツノオトシゴの求愛から連想される愛情深さと多くの子どもを産むことからタツノオトシゴを古くから安産のお守りとされています。
食用にも飼育にもタツノオトシゴの気になる価格

水族館で見ることができるタツノオトシゴですが、実は一般家庭でも飼育することができる魚です。
タツノオトシゴの価格は種類によって異なりますが、3000円から15000円ほどで販売されることが多く、飼育下の平均寿命は2年から3年ほど。うまく飼育することで、飼育下でもオス・メスのペアになり繁殖をすることも期待できます。
ただし、タツノオトシゴは飼育環境を整えるための手間や初期費用がかかることや人工飼料を食べず、慣れていなければ冷凍エサを食べないことから、飼育難易度はやや高めです。
タツノオトシゴは食用にもされており、中国では漢方薬にも用いられ、海馬(かいま)と呼ばれ男性ホルモンに作用がある強壮剤に用いられています。
そのほか、台湾などでは乾燥にしてスープにしたり、唐揚げにして食されることもあるようです。
ただし、タツノオトシゴはレッドリストに載っている生き物のひとつでワシントン条約では「輸出入には許可が必要」という動物とされており、タイでは丸焼きにされたタツノオトシゴ料理が発端でネット上での炎上に発展したほか、人気YouTuberの気まぐれクックがタツノオトシゴを捌いて調理する動画を投稿したところ、批判のコメントが寄せられる事態になりました。
海の中に生息している生き物の中でも人気が非常に高いタツノオトシゴ。世界中に多くの種類が生息しており、水族館でもその姿を気軽にみることができます。
幸運を呼ぶとも呼ばれるタツノオトシゴを実際に観察してみてはいかがでしょうか。