
幾多の野生生物が生息するアフリカ大陸。もちろんそこにはサルの仲間も多く含まれています。マントヒヒはそんなアフリカに住むサルとして日本でもその名が知られていますが、実際の生態はよく知らない方も多いのではないでしょうか。
今回はそんなマントヒヒの特徴やほかのサルとの違いをご紹介していきたいと思います。
マントヒヒの特徴的な鳴き声と名前の由来

日本でもその名前はがよく知られているマントヒヒ。その名前の由来はもちろん、その外見からつけられたものです。
マントヒヒのオスは背視聴するに従い、側頭部や肩から背中にかけて体毛が伸び、色も白色に変わって非常に立派なたてがみとなります。この姿がマントを着ているように見えることからマントヒヒという名前が付きました。「ヒヒ」とはサルのうち、主にアフリカに生息するオナガザルの仲間をさすもので、日本に古くから伝わる大型のサルの妖怪にちなんだ呼び名です。「ヒヒ」の仲間の特徴として鼻口部が突出し、犬歯が発達しているほか、オスとメスの性差が大きいことが挙げられます。マントヒヒもオスは大きいもので体長が80センチにもなりますが、メスはその半分程度です。
マントヒヒの英名は「Sacred baboon」と呼ばれ、直訳すると「神聖なヒヒ」となります。古代エジプトではマントヒヒは神の使いとされており、エジプト・アスワンにラムセス2世が造った世界遺産「アブ・シンベル神殿」にも壁画が残されています。そのほかパピルスに描かれたり、ミイラが作られるなど神聖視されていましたが、残念ながらエジプトに生息していたマントヒヒはすでに絶滅しています。
一般的にサルの仲間は甲高い声で「キーキー」と鳴くイメージがありますが、マントヒヒの鳴き声は「ブーブー」というものです。ただしマントヒヒは滅多に鳴き声を出すことはないようです。
ライオンキングで勘違い?マントヒヒとマンドリルの違い。

アフリカに生息するヒヒをモチーフにしたキャラクターとして最も有名なのが、ディズニー映画「ライオンキング」に登場する「ラフィキ」ではないでしょうか。
ライオンキングの舞台であるプライド・ロックに古くから住む長老的な存在で映画の冒頭で生まれたばかりの主人公・シンバを天高く掲げるシーンは非常に有名です。
このラフィキは謎のヒヒとされていますが、マントヒヒの体毛や、同じアフリカに住む大型のサルであるマンドリルの顔の色といった特徴がみられ、この2種のヒヒがモデルにされているようです。
マントヒヒとマンドリルはよく混同されることも多いのですが、マンドリルにはマントヒヒのような長い体毛がなく、逆にマンドリルの顔はマントヒヒと比べ青いほほ、赤い鼻、黄色いひげという鮮やかな色を持っています。
マントヒヒは獰猛な性格

マントヒヒの生息地であるアフリカにはライオンやヒョウなど凶暴な肉食獣も多く生息していますが、実はマントヒヒも負けず劣らず凶暴な性格を秘めています。
上述したヒョウやライオン、チーターなどがマントヒヒの天敵となるのですがそんな天敵と対峙した際にも大きな牙で威嚇をするなどし、立ち向かうそうです。
マントヒヒは野生の個体だけではなく飼育下での個体も獰猛さが確認されており、近くの檻に動物に威嚇をしたり飼育員に対して牙をむくこともあります。
アフリカでは古代から人々に神聖視されていたマントヒヒ。ライオンキングのラフィキの立ち位置からもわかるように神秘的な存在感を持つ動物であるようです。日本でも東武動物公園や羽村市動物公園などで実際にその姿をも見ることができるようです。