
南の島に暮らすサルとして日本の動物園でもよく見かけるワオキツネザル。実はそのとぼけた表情のどこか憎めない姿とはまたちがった生態を持っている動物です。今回はそんなワオキツネザルのイメージを変える生態についてご紹介していきたいと思います。
ワオキツネザルの性格は見た目通り!ペットにも向いている?

ワオキツネザルの生息しているマダガスカル島はアフリカの南東部に位置しており、豊かな自然が魅了的な島です。そんな島に住むワオキツネザルの性格は基本的に温厚で好奇心旺盛。黒と白のしましま模様の尾を持つ奇抜な姿にぴったりです。人間が何かを見ているとその横で同じようにのぞき込んだり、生態を撮影しようとしていたカメラの三脚に上り覗き込む姿が見られます。
この温厚な性格に加えて、人間に友好的でよくなつくことからペットにも適しているように思われますが、実はワオキツネザルは絶滅の危機に瀕しているため、ワシントン条約により日本への輸入が禁止されています。このため日本でワオキツネザルをペットとして飼育することはできません。
また、ワオキツネザルの生息地であるマダガスカル共和国内でもワオキツネザルをペットとして飼育することが禁止されていますが、2010年の調査では3万匹近くのワオキツネザルが飼育されていたことが明らかになっています。
ワオキツネザルは臭いで縄張りを主張!

動物園でその姿を目にする際にはあまり意識しませんが、野生のオスのワオキツネザルは強烈なにおいを放っています。
オスのワオキツネザルには手首や肩付近に皮脂腺が存在しており、そこから強烈な臭いの液を分泌するのですがこのにおいでコミュニケーションを行っています。分泌された液体を直接、木などに擦り付けたり尾になじませにおいを振りまくことで相手に自分の縄張りであることをアピールするそうです。
繁殖の時期にはより強いにおいで相手を上回ろうとする光景が多く見られ、分泌液をまとった尾を振る姿がよく見られます。
ワオキツネザルが分泌するにおいの強さは健康状態にも大きく影響を受けるということもわかっており、同じ個体でも怪我をしている状態では健康な状態と比べて10%もにおいの強さが弱まっていることも明らかになっています。
ワオキツネザルにとって、分泌するにおいの強さは極めて重要で、においが弱いと群れの仲で地位を失う可能性もあり繁殖の相手を見つけることが難しくなってしまうことも考えられます。
ワオキツネザルの群れはオスが弱い?

ワオキツネザルは5匹から20匹ほどの群れで生活をしています。群れの中ではオスよりもメスのほうが優位で群れのリーダーでるボスザルもメスが務め、社会生活を行っています。
それぞれの群れ同士では競合をしており、群れに所属するワオキツネザルの数が多いほど優位とされており、繁殖の環境が良いとされています。
群れの中ではオス、メスごとにランクがありオスは上述のように臭いの強いものが上位のランクに位置し、状態によりランクの上下が頻繁に行われるのに対してメスのランクはほとんど変動しません。
群れに所属するワオキツネザルの数には限りがあり、数が増えすぎるたり食料が足りなくなると群れは分裂をします。
また、群れから外れる者もおり、オスは群れの活動から3年半ほどの周期で離れて別の群れへ移動します。メスは周期で群れから離れることはありませんが、その代わり群れの中に大人のメスが増えるとランクの低い血縁関係の遠いものから追放されて行きます。
ワオキツネザルの独特な日光浴

ワオキツネザルは基本的に日中に活動をする昼行性の動物で、夜間は木の上で眠っています。しかし夜間に活動する姿も報告されており、まだ日が昇っていない朝早くから活動する様子も確認されており、夜行性に間違われるケースも多々あります。
また、ワオキツネザルの体の構造は原始的であるため、体温調節機能が発達していないため日光浴をすることで体の体温を上げているようです。
ワオキツネザルの日光浴は特徴的で両手、両足を多き広げ全身で太陽の光を浴びるのですが、そのユーモラスな姿が話題になっています。
また、日光浴のほかに体温調節のため密着して眠る姿も確認されています。
いかがだったでしょうか。イメージ通りのどこか憎めない性格や日光浴のひょうきんなポーズに対して厳しい群れの社会性や強烈な臭いを放つギャップを持っています。そんな愛すべきワオキツネザルが生活できる環境をいつまでも守っていきたいものです。