
信州のお土産の定番といえば「雷鳥の里」が有名ではないでしょうか。ウェハースにクリームを挟んだまろやかな甘さが特徴のお菓子で40年以上ものロングセラーです。そんな「雷鳥の里」はもちろん長野県の県の鳥であるライチョウをイメージしたものです。
しかし、実際のライチョウはどんな鳥なのでしょうか。今回は知っているようで実はよく知られていないライチョウについてご紹介していきたいと思います。
長野県?石川県?ライチョウの生息地

冒頭でも触れた通り、信州銘菓「雷鳥の里」は長野県の県の鳥であるライチョウをイメージして作られたのですが、ライチョウの生息地はどこなのでしょうか。
ライチョウ科に属する鳥は世界中に18種の仲間が認められており、ユーラシア大陸から北アメリカ大陸の北極海沿岸、ヨーロッパやアジアの高山帯に分布しています。日本に生息するのは「二ホンライチョウ」と呼ばれる日本固有の亜種でライチョウの仲間のうち最も南に生息しています。また、この「二ホンライチョウ」とは異なりますが北海道には「エゾライチョウ」と呼ばれる仲間も生息しています。
二ホンライチョウの主な生息地は長野県を中心とした北アルプスや御嶽山、南アルプスです。
石川県の白山では江戸時代の書物に生息していた記録が残されていましたが昭和の初期ごろまでにライチョウは絶滅していたと考えられていました。
しかし2009年に白山にライチョウの生息が再確認され話題を呼びました。
ライチョウは英語でサンダーバード?

ここまで度々触れている通り、ライチョウを漢字で表記すると「雷鳥」となります。高山という厳しい環境に生息しているものの荒々しいイメージのないライチョウに対してなぜこのような命名がされたのでしょうか。
ライチョウは天敵であるタカなどの猛禽類が活動しづらい雷が鳴るような空模様の時に活発に活動するため、名付けられました。江戸時代の一部の書物では「雷を好んで食す鳥」として考えられ、ライチョウは火除け、雷除けの象徴として扱われることがあり、江戸時代にはライチョウの羽が火除けのお守りとして売られていたこともあるそうです。
かつてJR西日本の特急「雷鳥」が「サンダーバード」と名を変え運行したことでライチョウの英名を「サンダーバード」と勘違いしがちですが、ライチョウは英語で「Ptarmigan」と表記されます。
ちなみに「サンダーバード」はアメリカの先住民の間に伝わる想像上の鳥です。5メートルを超える大きさを誇り、雷を自在に操るといわれています。
ライチョウはウサギの足で無声の鳥で絶滅寸前

ライチョウは学名「Lagopus muta」という名前が付けられています。”Lagopus”には「ウサギの足」という意味があり、ライチョウがウサギのように爪を除いた足先まで毛でおおわれていることからこのように呼ばれています。
また、ライチョウは鳴き声を滅多に発さないことでも有名で”muta”には「無声」という意味があります。
しかしライチョウは全く鳴き声を発さないわけではなく、その鳴き声はカエルによく似ているといわれています。
そんな個性的なライチョウですが、日本に生息するライチョウは絶滅の危機に瀕しています。
日本のライチョウは「氷河期の依存種」と呼ばれ現在よりも寒冷だった氷河期の時代に日本に渡ってきたものが取り残され、定住するようになったと考えられています。
しかし地球の温暖化に伴いエサや住処になるハイマツなどの高山植物が減少することや、低地から天敵となる動物が流入しやすくなることが懸念されています。このペースで温暖化が進行すると今世紀末には絶滅してしまうと考えられています。
名物のお菓子とともに愛されているライチョウ。国の特別天然記念物に指定され積極的な保護活動も行われていますが、一番の保護活動は温暖化を防ぐ一人一人の意識なのではないでしょうか。