
大自然の広がるアマゾン。多くの生物が生息するこの地にはもちろんサルの仲間も生息しています。そんなアマゾンのサルの中で唯一、夜間に活動する種がいます。
その名もヨザル。今回はまだ日本ではメジャーではないヨザルの生態についてご紹介していきたいと思います。
真猿類唯一の夜行性のヨザル

人間を含む世界中に多く生息しているサルの仲間をひっくるめて霊長類と呼ばれています。
霊長類は区分の仕方により様々な分類ができるのですが、そのひとつが原猿類と真猿類という区分です。
原猿類はその名が表している通り、サルの仲間でも原始的な仲間でキツネザル類、ロリス類、ガラゴ類、メガネザル類のサルが該当します。
それに対する真猿類は人間も含む原猿類を除いたサルの仲間をがそれにあたります。
真猿類の特徴として大脳が発達していることから社会的行動をとる傾向があり、樹上での集団生活を営むことや原猿類のようなするどい鉤づめではなく平づめを持っている点などが挙げられますが、多くの種類で共通する特徴は昼行性であることです。
ヨザルはオマキザル類の属しているサルであることから真猿類に分類されているサルの中で唯一の夜行性動物とされています。
新世界ざるとしても唯一の夜行性

霊長類の分類の仕方として原猿類と真猿類のほか旧世界ざると新世界ざるという分類方法があります。
類人猿の祖先として分化したユーラシア・アフリカに生息するサルの仲間を旧世界ザル。それに対してアフリカから4000万年ほど前にアメリカに渡ったと考えられているサルの仲間を新世界ザルと分類されています。新世界ザルに分類されるサルの中でもヨザルは唯一の夜行性動物です。
夜行性の動物の多くにはタペタムと呼ばれる光を効率的に集める構造を眼球に持っています。
しかし、ヨザルの眼球にはほかのサルと同じくタペタムの構造を持っておらず、昼行性の祖先から進化していったことが推測されています。
ヨザルの生息地と意外に純愛でイクメンな生態

冒頭でもご紹介した通り、ヨザルの生息地はアマゾン周辺、具体的にはコロンビア東部からベネズエラ南部、ブラジル北部の熱帯雨林に生息しています。
ここまで、再三お伝えした通り夜行性であることからヨザルという名前が付けられています。完全な夜行性であるヨザルは、昼間は木の洞などで眠っているが夜は活発に活動をしています。
真猿類のサルの特性の一つである社会性を持ち合わせており、ペアのオスとメスに加え数匹の子どもからなる2~5匹ほどの家族で群れを作って生活をしています。
ヨザルはペアは生涯変わることがないまさに純愛で、なおかつ出産後のメスの負担を軽減するため子育ては授乳以外はオスが行い、背中に子どもをのせて運ぶまさにイクメンなのです。
ヨザルはペットにできる?意外な値段も

ヨザルの成獣の大きさは30センチから40センチほどです。また、ヨザルの性格は穏やかでおっとりしている傾向が強く、ペットとして扱いやすいとされています。
ヨザルは大きな丸い目に体もそこまで大きくないことからペットとしても人気が高かったのですが、ペット用のほか現地の人々の食糧としてや実験を目的として乱獲が多発し、ペット用の輸入をすることが禁止されました。
現在ペットショップで販売されている個体は国内で繁殖をしたものが多く、そのような背景からヨザルの販売価格は180万円ほどとされています。
アマゾンで昼行性から夜行性へ特異な進化を遂げたヨザルですが、穏やかな性質や純愛を貫く、イクメンであるなどハートフルな特性をもっています。
昼の世界での争いを避け、夜の世界でのびのびとした暮らしを選んだヨザルならではの性質なのかもしれません。