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シャチは漢字で鯱!日本で見られる珍しい水族館は?

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シャチ

海に生息する多様な生物のなかには凶暴なものも多くいますが、シャチもそんな生物のひとつではないでしょうか。
今回は美しい白黒の模様で、水族館でも人気の高いシャチについてご紹介していきたいと思います。

漢字で書くと鯱!シャチの見られる水族館

鯱の名がついたシャチホコ

日本三大名城にも数えられる名古屋城。「尾張名古屋は城で持つ」の言葉のとおり、名古屋の人々にとっての誇りです。そんな名古屋城のシンボルといえば大天守にそびえる鯱鉾です。鯱の名がついていますが、その姿は水族館でみることができるシャチの姿と似ても似つかないのはなぜでしょうか。
実は鯱というのは14世紀ごろに中国で生まれた、逆立ちをするように尾は上を向き魚の姿にトラの顔を持つ背中にいくつものトゲがあるとされる空想上の生き物です。江戸時代に記された「和漢三才図絵」と呼ばれる当時の百科事典にも鯱の存在が示されており、クジラをも襲う獰猛な生き物と記されております。
鯱は口から水を出すと考えられており、木造建築である日本の城を火災から守る火除けの守り神として織田信長により取り入れられたともいわれています。
現在、水族館で見かけられるシャチは水上に立った背びれを矛(叉)に見立てたことからサカマタという呼び名もありますが、上述のシャチという名前が浸透しました。
名古屋城の金鯱はまさに名古屋の象徴で、戦前には名古屋金鯱軍というプロ野球チームが存在し、現在も鯱を指すグランパスを冠した名古屋グランパスエイトが人気を誇っています。
そんな名古屋にある名古屋港水族館でも、もちろんシャチをみることができます。
シャチを飼育している水族館は世界的に見ても少数で、2020年現在、日本国内では千葉県にある鴨川シーワールドと名古屋港水族館のみとなっています。

頭のいいシャチの目はわかりにくい

シャチ

白黒の体色が印象的なシャチは頭部付近に白い模様があります。遠目からはウルトラマンの目のように見えるため、この部分に目があるように思われがちですが、この部分がアイパッチとよばれ実際の目はこのすぐ下の黒い部分にあります。シャチの個体群によってはアイパッチが非常に小さいものも確認されてますが、このアイパッチが存在する理由については諸説あります。
視界の悪い海中で、敵や獲物を驚かす効果があるためや、小さな魚に見せかけて寄ってきたイルカやアザラシなどを捕食するため、敵に目の場所を誤認させ守るためといった理由が考えられています。
イルカやクジラなどは視力があまり良くないというのが一般的ですが、シャチの目は非常に良いとされています。
シャチは目がいいだけではなく知能も高いことで知られています。イルカの仲間であるシャチは、イルカと同様に仲間と会話をすることができ、仲間同士で情報共有を行うほか、生息する地域ごとに方言があることがわかっています。
シャチのコミュニケーションが最も生かされるのが狩りの場面で抜群のチームワークで獲物をおびき寄せたり挟み撃ちにするなど多種多様な狩りの手法を用いる子おtができます。
シャチは物覚えもよく、上述の名古屋港水族館や鴨川シーワールドではシャチのショーを見ることができますが、シャチはイルカよりも芸を早く覚えることができるそうです。

天敵のいないシャチの祖先はメガロドンを追い込んだ

シャチが絶滅に追い込んだメガロドン

シャチは海のギャングとも呼ばれ、英語では「killer Whale」という名も付いている獰猛な肉食動物です。
その名のとおり、シャチは海の中の食物連鎖の頂点に君臨し、魚類やアシカ、ペンギンのほか、大型のイルカやクジラも狩りの対象になります。
北極圏に生息する陸上生物の生態系の頂点はホッキョクグマですが、なんとシャチはそのホッキョクグマも捕食の対象にします。ホッキョクグマにとってシャチは唯一の天敵とも呼べる存在なのです。
シャチが海の動物たちにとって脅威の存在であることは、大昔からも変わらないようです。
恐竜が絶滅したのちの新生代という時代に海の支配者と呼ばれた生物がメガロドンです。
メガロドンは最大で体長20メートルにもなるといわれているサメの仲間でクジラを捕食していた凶暴な生物です。
そんなメガロドンが絶滅したのは360万年前といわれていますが、ちょうどホオジロザメやシャチの祖先が出現した時期と重なります。
メガロドンは巨体を持っていますがホオジロザメやシャチに身体能力は劣っており、獲物獲得の生存競争に負けたことで絶滅へ向かったと考えられています。

海の中では最強を誇るシャチですが、水族館でショーが見られることからわかる通り、人にもなつくそうです。
そんなシャチですが、世界でも限られた国でしか飼育されていません。日本は実際に本物のシャチをみられる数少ない国ですので、鴨川シーワールドや名古屋港水族館に足を運んでみてはいかがでしょうか。

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