
まだまだ謎が多い深海には様々な生物が生息していますが、その中でも特徴的な姿をしているのがリュウグウノツカイです。
深海魚のなかでも巨大な部類で特徴的な見た目から様々な言い伝えがあるようです。
今回はそんなリュウグウノツカイについてご紹介していきたいと思います。
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リュウグウノツカイにまつわる2つの言い伝え

大型の深海魚は滅多にその姿を見せないことや形状がよく見かける魚と比べて独特であることから、深海魚にまつわる言い伝えが多く残されています。リュウグウノツカイも例外ではなく、言い伝えが残されているのですが、今回はその中でも代表的な2つの伝説についてご紹介いたします。
リュウグウノツカイが打ちあがると地震や災害の前兆

リュウグウノツカイにまつわる言い伝えの代表的なものが「リュウグウノツカイが海岸に打ちあがると地震が起きる」というものです。
同じような言い伝えは同じ深海魚であるラブカやサケガシラなどにも存在します。
災害が起こる前に動物が騒ぎ出すという「動物異常行動」があると考えられていること、実際に阪神淡路大震災や東日本大震災など大きな地震が発生する1~2ヶ月前にリュウグウノツカイが打ちあがったという記録があることから、ただの迷信ではなく地震と深海魚に何らかの関連があると考えられていましたが、2019年に静岡県の東海大学海洋研究所と静岡県立大学の発表ではリュウグウノツカイなどの深海魚と地震発生について関連性がないとの結論が発表されました。
リュウグウノツカイなどの深海魚が滅多に姿を見せないことや、見た目がお世辞にも良いといえないことが深海魚と災害が結びついた理由ではないかと思われます。
人魚の正体はリュウグウノツカイ

ヨーロッパを中心に数多くの人魚伝説が残されていますが、実は日本にも人形の話が残っています。
一番古いものでは、奈良時代に編纂された歴史書である「日本書紀」には摂津の国(現在の現在の大阪府から兵庫県の一部)で人魚が漁師の網にかかったという話
が残っているほか、人魚の肉を食べた八尾比丘尼は不老不死となり、800年も生きたにも関わらず若い娘の姿をしていたという話は全国的に有名です。
一般的に人魚のモデルとして有名なジュゴンやマナティは日本に生息していません。実は日本ではリュウグウノツカイが日本の人魚のモデルとなったといわれています。
「古今著聞集」や井原西鶴の著作などに人魚の具体的な描写がありますが、その姿はリュウグウノツカイの特徴に酷似しているのです。
インパクト大リュウグウノツカイの名前の由来

その大きさや見た目も他の動物にない特徴ですが、やはりインパクトが強いのはその名前ではないでしょうか。
リュウグウノツカイは漢字で表記すると大方の予想通り「竜宮の遣い」という表記になります。リュウグウノツカイの銀色の体色と赤く長いヒレを持つ姿から、浦島太郎でも有名な竜宮城を連想し、名付けられたことが想像されます。
しかし、リュウグウノツカイの名前の由来について記された文献は発見されておらず、はっきりした由来はわかっていません。
一方英語でリュウグウノツカイ「oarfish」あるいは「ribbonfish」と呼ばれています。上でも触れた赤く長いヒレをリボンに見立てた「ribbonfish」と全体の形状を船を漕ぐオールに見立てた「oarfish」というみもふたもない名付け方をされています。
なかなかお目にかかる機会の少ないリュウグウノツカイですが、その名前や言い伝えから日本人にとって特別な存在だったようです。
巨大で銀色に輝く体色に映える赤色の異様な姿から昔の日本人はいろいろな想像を膨らませたのでしょう。