
毎年、多くの生物が新種として発表されていますが、世界中にはまだその存在が確認されていない動物が多く存在しています。
中にはまことしやかにその存在が噂されている動物もおり、そんな動物たちをUMA(未確認生物)と呼びます。
そんなUMAの代表といえばネッシーです。今回はネス湖に住む怪物として一世を風靡したネッシーについてご紹介していきたいと思います。
最古は6世紀!ネッシーの目撃情報

ネッシーの住処といえば、イギリス・スコットランド北部のネス湖です。20世紀の初頭から幾多の目撃談が飛び交い話題になりましたが、最古の目撃例は6世紀にもさかのぼります。
アイルランド出身の出身の修行僧・コロンバについて690年頃にアダムナンが記した「聖コロンバ伝」のなかでネス川付近の怪獣に遭遇したとして、ネッシーについて触れられています。
上述した通り、ネッシーの目撃談が多く寄せられるようになったのは20世紀初頭に入ってからになります。1933年にネス湖付近の道路網が整備されたことが影響しており、湖畔でホテルを経営する夫妻の目撃談や口述する1934年の外科医の写真などで広く世間に知られるようになりました。
ドラえもんにも登場!ネッシーの外科医の写真

ネッシーの目撃情報の中で最も有名なものが1934年に撮影された「外科医の写真」ではないでしょうか。
1934年4月21日にイギリスのタブロイド紙・デイリーメールに外科のウィルソンが撮影したネッシーの写真が掲載されました。それまで目撃談ばかりだったネッシーの姿をとらえた写真は大きな衝撃を与えました。
一方でこの写真に対しては早い時期から疑いの声も多くあり、ネッシーを題材にしたドラえもんのエピソード「ネッシーがくる」でも湖に飛び込むカワウソを撮影したトリック写真という説が紹介されています。
この写真について1993年11月にウィルソンの写真撮影に同行したクリスチャン・スパークリングが自身の死の間際に捏造であることを告白し、模型を撮影したトリック写真であることが明らかになりました。
本物のネッシーはいない?正体はウナギやゾウ?

ネッシーをここまで有名にした要因のひとつがネッシーが実際に存在するかしないかの論争が巻き起こったことではないでしょうか。
日本でも1970年頃のオカルトブームに乗りネッシーの存在についての議論が知名度向上に一役買いました、
そんなネッシーですが、果たして本当に実在するのでしょうか。
ネッシーの目撃が相次いだのは1930年代ですが、その頃の目撃情報の正体がゾウだった可能性が挙げられます。
当時、巡業に訪れたサーカス団の一行がネス湖周辺で動物を休憩させていたとされ、湖で泳ぐゾウの鼻が首長竜のように見えたことが初期のネッシー目撃情報の正体ではないかといわれています。
ときは流れ、2018年、ニュージーランドのオタゴ大学の国際研究チームがネス湖の大規模調査を行いました。250か所の様々な水深で水を採取し、DNAを解析するという方法で生息する生き物を分析する調査ですが、残念ながらネッシーと思われるDNAを発見することはできませんでした。
そんなネス湖で最も多く採取されたのがウナギのDNAで、研究チームはネッシーと思われていた生物はこのウナギが巨大化したものとの推論を出しました。
ネス湖に生息するヨーロッパウナギは最大で1.5メートルの大きさが確認されており、ネッシーに見間違えることは十分に考えられるようです。
ただし、この調査では2割のDNAが特定できなかったことや、カワウソなどネス湖で目撃されている生物のDNAが採取できなかったそうです。
そのためウナギがネッシーの正体であることが断定できたわけではなく、さらなる調査が必要になるとのことです。
最近の研究や調査ではネス湖でネッシーのような巨大生物が生息する可能性は低いとも言われています。
たとえ可能性は低くとも、世界中を席巻し、ロマンを提供してくれたネッシーの存在を願いたいものです。