
寒冷地である南極大陸以外のすべての大陸に生息するトカゲは、世界中の人々にとって身近な爬虫類の1つなのではないでしょうか。
そんなトカゲの仲間で最大級の大きさを誇るのがコモドオオトカゲです。今回はその迫力を持つコモドオオトカゲについてご紹介していきたいと思います。
迫力ある別名を持つコモドオオトカゲの大きさと生息地

冒頭で紹介した通り、世界最大の大きさを誇ることで一躍有名になったコモドオオトカゲですが、どのくらいの大きさなのでしょうか。
コモドオオトカゲの全長は2~3メートルにもなり、平均的な成人男性よりもはるかに大きな体を持っています。コモドオオトカゲはオスに比べてメスが大きくなる傾向があり、最大の個体は3.13メートルという記録が残されています。
尻尾を含めた全長自体はハナブトオオトカゲという種がコモドオオトカゲよりも大きい記録もありますが、純粋な体の大きさはコモドオオトカゲのほうが勝っています。
また、コモドオオトカゲの大きな特徴は体重も最大級であり、体重は70キロほど、飼育下で最大のものは166キロというものもいました。
この大きさと迫力からコモドオオトカゲは「コモドドラゴン」という別名もあります。
コモドオオトカゲの生息をしている範囲は実はかなり狭く、インドネシアのコモド島、リンチャ島、パダール島やその周辺の島に限られています。
この地域はコモド国立公園に指定されており、世界自然遺産にも指定されています。
コモドオオトカゲの「コモド」はこの地域に生息していることを意味しており、この一帯に5000頭ほどの個体が生息しているといわれています。
コモドオオトカゲは移動に秀でている動物で、なおかつ水に苦手意識がなく泳ぐこともできるのですが自分たちの住んでいる島の外へ出様子とすることは決してないそうです。
一方でこの国立公園の観光地化が進むことでコモドオオトカゲが密猟の被害にあうことや自然環境の悪化よりエサとなるシカなどの動物の減少が問題になっており、一時インドネシア政府はコモド島を閉鎖する方針を打ち出していましたが結局会員制で入島を制限する方針を示しました。
ゾウや人間も襲われる危険なコモドオオトカゲ

インドネシア政府がコモドオオトカゲの生息するコモド国立公園を閉鎖する方針を打ち出したのはコモドオオトカゲや自然環境の保護だけではなく人間の安全を考慮しての一面もあります。
本来コモドオオトカゲが人間を襲うことは滅多にありませんが、上述のとおり自然環境の悪化により、エサとなるシカなどの動物が減少したことで人間や家畜を襲うこともあり、成人男性がコモドオオトカゲに襲われて命を落としたケースもあります。
また、コモドオオトカゲの体が大きく進化を遂げた理由として、過去にゾウを襲っていたことも一因と考えられています。コモドオオトカゲが分布している地域では数万年前まで大きさが1.5メートルほどの小型のゾウが生息していたことがわかっています。コモドオオトカゲはこのゾウを捕食しており、ゾウに対抗するために体の大きさを巨大化させていったと考えられています。
普段ん身近に生息しているトカゲのイメージからはかけ離れた凶暴性をコモドオオトカゲは秘めています。
コモドオオトカゲが見られる動物園

野生のコモドオオトカゲはインドネシアの限られた地域でしか見ることができないうえ、今後生息域が閉鎖されることで生でその姿を見る機会は少なくなってしまうことが考えられます。
そこで、日本国内でコモドオオトカゲを見ることのできる動物園はあるのでしょうか。
現在、コモドオオトカゲを飼育している動物園は残念ながらありません。過去に東京の上野動物園と北海道の丸山動物園で飼育の実績がありますが、現在は飼育は行われていないようです。
ただし、静岡県・伊豆の爬虫類専門の動物園izooで繁殖のため、インドネシア政府から1ペアが貸与されることになっているのですが、両国間で手続きが難航しており予定より来園が遅れています。
大きな体のとおり、迫力と凶暴性を秘めたコモドオオトカゲですが、その凶暴性や希少さから生で見ることのできる機会は少なくなっています。
そんなコモドオオトカゲを日本で見ることのできる機会が近くやってきそうです。
コモドオオトカゲが来日した折には一目その姿を見てみてはいかがでしょうか。