
世界一大きなトカゲの仲間として有名なコモドオオトカゲ。大きな特徴であるその巨体のほかに知られざる特徴があるようです。今回はコモドオオトカゲの隠れがちな特徴についてご紹介していきたいと思います。
火をはかないが猛毒を持つコモドオオトカゲ

コモドドラゴンとも呼ばれているコモドオオトカゲはその見た目から発見当初、口から火を吐くというデマが流れたともいわれています。もちろんコモドオオトカゲが火を吐くはずもありませんが、コモドオオトカゲには強力な武器があります。
コモドオオトカゲの歯茎には猛毒があることが知られています。毒を持っていることで真っ先に挙げられる毒蛇と異なり複数の毒管を持っており、その強さも最も強力な毒を持つといわれるナイリクタイパンに勝るとも劣らない強さなのだそうです。
コモドオオトカゲは鋭くギザギザの牙で相手の皮膚を切り裂き、血液に毒を注入します。
この毒はへモトキシンと呼ばれる出血毒で一度でも噛みつかれると次第に血圧が低下するとともに衰弱し絶命します。コモドオオトカゲが毒を送り込む仕組みは精巧にできており、非常に効率的に相手弱らせることができます。
コモドオオトカゲの毒の正体はバクテリア?

かつてからコモドオオトカゲの毒の存在は知られていましたが、この毒はコモドオオトカゲの口内で繁殖しているバクテリアが原因なのではないかと考えられています。
その後の研究でコモドオオトカゲに非常に強力な毒があることが分かったのは上述のとおりですが、コモドオオトカゲの口内には非常に多くのバクテリアが繁殖していることも事実です。
コモドオオトカゲは仕留めた相手のほか、腐食した肉も食すため有毒なバクテリアが70種類以上も繁殖しており、コモドオオトカゲに噛まれると毒に侵されない場合でも敗血症になるリスクが非常に高いのです。
一方で口内に有害なバクテリアが繁殖しているにも関わらずコモドオオトカゲが感染しないことに着目し、研究が進んだ結果、コモドオオトカゲの血液には強い抗菌作用があることが近年明らかになっています。
コモドオオトカゲの血液には傷の治癒を早める効果も期待されており、将来は薬品に利用されることが期待されています。
コモドオオトカゲは単為生殖

ここまでコモドオオトカゲの知られざる毒の存在について紹介してきましたが、コモドオオトカゲにはさらに驚くべき特徴があきらかになっています。
2006年にイギリスの2つの動物園で飼育されているメスのコモドオオトカゲが産卵をし、そこから子供のコモドオオトカゲが生まれたのですが、なんとこのコモドオオトカゲはオスと接触がなかったのです。
つまり、このコモドオオトカゲのメスはオスと交尾をすることなく単独
コモドオオトカゲに限らず、哺乳類とは異なり無脊椎動物や爬虫類などは単独でメスだけで子供を作ることができるのだそうです。
ただしこの単為生殖では遺伝子を多様化し、環境に適した進化を遂げるという面では不利です。
また、コモドオオトカゲの遺伝子に関して染色体を解析したところニワトリと染色体の28番一致していることが確認されています。
他の爬虫類と異なり、コモドオオトカゲの心臓は心室が4室に分かれており、この点はニワトリと類似しており、コモドオオトカゲとニワトリに共通の祖先がいることを示唆しています。
世界最大のトカゲの仲間という圧倒的な特徴をもつほかにも、多くの意外な特徴を兼ね備えているコモドオオトカゲですが、現在日本で飼育をされていません。
実はコモドオオトカゲは密猟による個体数減少が心配されているのです。
強力なコモドオオトカゲが太刀打ちできない天敵はやはり人間なのではないでしょうか。