
大きな目と丸い耳長いしっぽが特徴的なキンカジュー。木の上で主に生息する生態も含め、一見するとサルのようですが、実は意外な動物の仲間なのだそうです。今回はそんなキンカジューについてご紹介していきたいと思います。
樹上生活をするキンカジューはサルではない

キンカジューが生息するのは中央アメリカのメキシコから南アメリカ大陸のブラジルやなどにかけてです。熱帯林の地域でくらしており、ほとんどの時間を樹上生活をして過ごしています。
キンカジューの体長は40センチから70センチほどでネコほどの大きさをしています。キンカジューの大きな特徴は冒頭でも触れた通り、くりっとした大きな丸い目と側頭部についている丸い形をした耳、そして長く伸びた尻尾です。キンカジューの尻尾は体長の半分ほどを占めており、樹上生活をするキンカジューは尻尾を木に巻き付けて木にぶら下がることもできます。この尻尾は木にぶら下がるだけではなく、不安定な樹上でバランスを保つためにも役立ちます。
このような特徴や見た目からキンカジューはサルの仲間であると思われがちですが、実はアライグマの仲間なのです。キンカジューの属するアライグマ科の動物の中でキンカジューは唯一尻尾にしま模様のない動物でもあります。
謎の多いキンカジューの名前の由来とエサ

キンカジューは分類としては肉食獣に分類され、肉を噛みちぎることに適した犬歯が発達している特徴が見られます。しかし、実際にはキンカジューの食生活は植物性の傾向が強い雑食性で主にアボカドやグァバ、マンゴーといった果実や花の蜜を食べます。ほかに鳥や昆虫、小型の哺乳類をたべることもありますがその割合はわずかです。キンカジューは発達した犬歯が邪魔になり植物性のエサを食べる姿はお世辞にもきれいとは言えないようです。
雑食性のキンカジューですが、特にハチの巣を襲い長い舌を器用に使ってハチミツを食べることを好みます。この姿からキンカジューは「ハチミツグマ」という別名があります。
キンカジューの学名「Potos flavus」はラテン語で「金色の酒飲み」という意味があるのですが、ここにも花の蜜を好んで食している特徴が見え隠れします。
一方でキンカジューは漢字で「金華獣」と表記されることがあり、和名であるかと思われがちですが、英語「kinkajou」をカタカナ表記したものです。この英名はフランス語でクズリを示す「quincajou」が訛ったものだといわれています。クズリとキンカジューは似た特徴がありますが、大きさが大きく異なることから毛皮だけ見たフランス人商人が混同したのではないかと考えられています。
パリス・ヒルトンも飼育したキンカジューの性格

その大きな目と丸みを帯びた体の形が愛され、ペットとしても人気があります。アメリカを代表するセレブであるパリス・ヒルトンも飼育していたことでも有名で2006年8月にはキンカジューに左腕を噛まれ、破傷風になってしまったことが話題になりました。
キンカジューはまだまだマイナーですが、ペットショップでも販売をされていることがあり、価格はおよそ15万円から30万円ほど。そのほかにケージやヒーターなどの初期費用として3万円ほどかかるそうです。
キンカジューの性格は飼いはじめのうちは警戒心も強いようですが、好奇心も旺盛で比較的人になつきやすい動物で、飼育下の寿命は20年ほどだといわれています。
一見するとサルのような外見ですが、実は一味違った特徴を持っているキンカジュー。ペットとして注目をされていますが、まだまだ歴史が浅いのも事実です。
流行りに流されずしっかりとした準備でキンカジューを迎え入れてほしいと思います。