
NHKの人気番組「ダーウィンが来た」でも取り上げられ注目を浴びたツチブタですが、珍しい動物ゆえにまだまだ知名度も高くありません。
名前から連想するのはブタですが、実物を見ると長い口はアリクイ、耳はウサギ、どことなくアルマジロのような雰囲気もあります。
今回はそんな不思議なツチブタについて
・ほかの動物との違い
・特徴的な生態
・どの動物園で見ることができるか
以上についてご紹介していきたいと思います。
ブタにの仲間?ツチブタの大きさはブタよりも小さい

ツチブタという名前からブタの仲間であるように思われますが、ツチブタはツチブタ科ツチブタ目に属する唯一の動物であり、広い区分で見るとブタよりもゾウやマナティーに近いブタとは全く異なる独自の種類の動物です。
鼻はブタによく似ているのですが、ほこりや砂が入らないように鼻孔を閉じることもできます。
家畜として世界中で飼育されているブタに対してツチブタの生息地はマダガスカル島を除くアフリカのサハラ砂漠より南となっています。
ツチブタの生息地はアフリカのイスラム圏にも生息していますが、鳴き声も「ブーブー」とブタに似たような鳴き声をすることもあり、現地のイスラム教ではブタの一種と認識されており、ブタと同じく食べることを禁忌としています。
生息環境としてサバンナや森林に生息しており、この点はブタの祖先にあたるイノシシに似ているとも言えます。そんなツチブタですが、大きさは1メートルから1.3メートル程で種類にもよりますがブタと比べてやや小さいようです。
ツチブタとアリクイの違いは?

ツチブタがよく似ているといわれる生物はブタのほかにアリクイが挙げられます。細長い口の形や長いしっぽはアリクイにそっくりなのですが、両者にはどんな違いがあるのでしょうか。
ツチブタとアリクイ歯共に夜行性で食性は動物食でアリやシロアリを主にエサにしており、前足で蟻塚を破壊し粘着質に覆われた長い舌を使って食べています。
この食性がよく似ていることから近い種族として認識されており、かつてツチブタはアリクイ目に分類されてまいましたが現在は上述のとおり独立したツチブタ目と分類されています。
ツチブタとアリクイノ大きな違いは歯の有無で歯がアリクイの歯が退化してしまっているのに対してツチブタは歯を維持しています。
そのほかにもツチブタの大きさはアリクイと比べてやや大きく、体重も重いようです。
ツチブタは唯一の管歯目の動物

ツチブタが分類されているツチブタ目は管歯目とも呼ばれており、この種族に分類される唯一の動物です。
アリクイやツチブタは上述のとおりアリクイのように長い舌を駆使してエサであるアリを捕食します。アリクイは長い舌を口から出す際に歯が邪魔となってしまうため次第に歯が退化していったため、歯の退化した哺乳類が分類される「貧歯目」に分類されました。
ツチブタも同じく長い舌を出す際に不便であることから人間に前歯にあたる門歯や犬歯が退化しており、歯根や歯を硬くしているエナメル層がない特徴から「貧歯目」に分類されていました。
しかし、歯が完全に退化したアリクイに対してツチブタが人間の奥歯に当たる臼歯を維持していることや1990年代に入りDNA解析が行われ、ほかの貧歯目と歯と異なり別の分類がふさわしいことが明らかになりました。
ツチブタの歯は特徴的で歯の神経である歯髄の通った六角形の管が束になり歯を形成していることから管歯目と呼ばれています。
ツチブタの歯は上でも触れた通りエナメル質がないため弱く簡単に折れてしまうのですが一生伸び続けるそうです。
ツチブタは巣穴で暮らしきつい臭いを放つ

ツチブタの住むアフリカは昼間とても暑いため、前足のスプーン上になった爪で掘った涼しい巣穴の中で主に過ごします。
ツチブタの巣穴はトンネル状になっており、複数の出入り口がある全部で数十メートルにも大規模なものだそうです。
他にも天敵から隠れるためや風から逃れるために一時的に穴を掘り逃れることもあるようです。
また、ツチブタの大きな特徴として強烈な臭いをが挙げられます。この臭いはしっぽの近くにある臭腺から分泌される黄色い液体から放たれます。
ツチブタは夜行性で目が良くない代わりに嗅覚や聴覚が発達しています。このような強いにおいを発することで縄張りをほかのツチブタに示したりコミュニケーションに活用しています。
アリクイのようでアリクイではない、ブタであるようでブタではない独特な特徴を持つツチブタですが日本では東京の上野動物園、静岡の日本平動物園、愛知の豊橋総合動植物公園と東山動物園、兵庫の姫路動物園の5つの動物園でしか飼育されていない珍しい動物です。
現地では夜行性で警戒心が強いためなかなか見ることのできない動物といわれていますが、動物園でもなかなか見られないまさに珍獣のようですね。