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気になるヤドカリの中身と赤ちゃんの姿

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ヤドカリ

南の島の砂浜に流れ着いた貝殻の中に暮らしているヤドカリというイメージを一度は見かけたことがあると思います。
そんな誰もがご存知のヤドカリですが実は大小さまざまな種類がいます。
今回はそんなヤドカリの生態などを中心にご紹介していきたいと思います。

意外と見たことがないヤドカリの中身と貝殻の入手方法

ヤドカリ

ヤドカリの最大の特徴はその名のとおり、宿にも背負っている貝殻です。この貝殻はカタツムリのようにヤドカリ自身の体が変化したのではなく、一般的に主が死んでしまい、持ち主不在となった巻貝の貝殻を背負っています。
ヤドカリは生息している海岸などに流れ着いた貝殻の中から自分の大きさにあったものを選らんで背負います。
ヤドカリは体の成長に合わせて、ときには気分によって貝殻を頻繁に交換するのですが、自分に見合ったサイズの貝殻がない場合もそれまで使っていた貝殻を脱ぎ捨ててしまいます。
主のいる巻貝は一般的に物陰や砂の中に隠れることが多いため、ヤドカリは新しい宿を見つけることが困難なケースも多いようで、ヤドカリ同士で貝殻を奪い合うことや交尾などで貝殻を脱いだ隙をついて盗み出すこともしばしばあるようです。
ヤドカリは貝殻だけではなく、種類によってはサンゴの穴に入るものもいるほか、漂着するペットボトルやプラスチック容器のゴミを背負うこともあります。
中にはおもちゃのブロックやビニール人形の頭といった変わり種の宿を背負う姿も目撃され話題に上がることもしばしばです。
ヤドカリの普段、貝殻の中に隠れている部分は腹部で、上からヤドカリを見てみると右側にねじれています。
このヤドカリの腹部は非常にやわらかくエビなどほかの甲殻類とは異なり節がないことが特徴です。ヤドカリの腹部は外敵からダメージを受けやすいうえ、種類によっては日差しによって焼けてしまうこともあるためヤドカリが貝殻を失うことは命にかかわる一大事なのです。

生まれたてのヤドカリの赤ちゃんは貝殻がない

ヤドカリ

上でも紹介した通り、ヤドカリの背負う貝殻は元々別の生き物のものです。ヤドカリの幼生はいつ頃からを背負いだすのでしょうか
卵から孵化したヤドカリの幼生は成体とは異なる姿をしており、プランクトンとして過ごします。エビやカニに代表される甲殻類の幼生は「ゾエア幼生」とよばれ、ヤドカリもこれに含まれます。数回の脱皮を経てエビのような姿のグラウコトエ幼生を経て稚ヤドカリとなります。
この稚ヤドカリの状態では腹部の節が消えて貝殻を背負うようになります。

天然記念物だけどペットとしても人気のヤドカリの飼育

ヤドカリ

ヤドカリはペットショップでも安価に購入できることもあり、ペットとして人気が高くあります。
温暖な気候に生息するヤドカリの飼育環境を整えるためには水槽やヒーターなどをそろえる必要がありますがそれでも1万円程度で収まる点も人気の秘訣のようです。
ペットとして最もポピュラーなのがオカヤドカリです。自然に生息しているものは天然記念物に指定されていますが、指定業者にのみ捕獲が許されており、ペットとして広く販売されています。
ヤドカリは専用のペットフードのほか、シラスなどの小魚やリンゴ、ニンジンなどの野菜類などさまざまなものがエサになります。
きれい好きのヤドカリにストレスを与えないため、水を汚さないように保つことが上手に飼育するコツのようです。

ヤドカリは美味?お味噌汁で食べられる

ヤドカリ

ペットとしてヤドカリが人気であることを紹介しましたが、地方によっては食用としても親しまれているようです。
特に島根県では大型のヤドカリを食用としているようです。
甲殻類の仲間であるエビやカニと同じように塩ゆでにして食べるほか、刺身や味噌汁といった調理方法もあります。
ヤドカリは高級食材であるタラバガニの仲間でもあり、その食感はイセエビを連想される上品な味だそうです。

チャーミングな姿が愛らしいヤドカリはペットとしても人気ですが、食材としても広く親しまれている人間の暮らしに根付いた生き物のようです。

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