
キリンといえば独特の模様に長い首という特徴は他の動物にはないものです。キリンはなぜこんな特異な進化を遂げたのでしょうか。キリンの首の意外な秘密とともにご紹介していきたいと思います。
キリンの長い首は水をうまく飲むため

現在、キリンの仲間であるキリン科の動物はキリンとオカピの2種類のみですが、かつてその祖先は森の中に住んでいました。
そのうち、後にオカピになるものは森の中にとどまり、キリンになるものはサバンナに進出しました。
見渡しのいいサバンナでは敵に発見されやすく、追いかける敵から逃げるために次第に足が長くなり、それに合わせて体も大きくなったと考えられています。このころはまだ、首は長くありませんでした。
体が大きくなったキリンは敵から逃げるための脚力を得た一方で、水辺で水を飲む際に前足を大きく屈めなければならないという欠点がありました。水辺でしゃがむことにより敵に襲われるリスクが増大します。また、慌てて立ち上がることで骨折をし、結果的に襲われてしまいます。
そんなキリンの仲間のなかで首の長いものが現れました。首の長いものは、頭を下げるだけで水を飲むことができ、屈まなく手も済むため素早く逃げることができました。結果的に首が長いものだけが生き残るようになったことがキリンの首が長い理由と考えられています。
キリンの長い首の原因はウィルスという説も

キリンの首が長くなった理由は上述した水を飲むためという説がメジャーですが、一部ではウィルスによる突然変異なのではないかといわれています。
キリンは首の短い動物が進化の過程で、長い首になったと考えられていますがその中間の化石が見つかっていないことがウィルス説の理由なのだそうです。
しかし、短期間の間に進化を遂げた動物の場合には中間尾化石が見つからないことも珍しくなく、特にキリンやその仲間の化石は完全なものが少ないため突然変異で首が長くなったという説は信憑性が薄いのかもしれません。
キリンの首の骨の数は人間と同じ

キリンの長い首は2メートルほどになり首だけで一般的な人間の背丈をこえてしまいます。
しかしキリンの首の骨の数は7つで実は人間の首の骨と同じ数なのです。
実はほとんどの哺乳類の骨の数は7つで構成されており、キリンや人間もその例外に入らず首の骨は7つとなっています。
キリンはほかの動物とくべて首の骨がとても大きく、それを支える筋肉も強靭であることで長い首を維持しています。
キリンの首の力はとても強く、縄張り争いやメスの取り合いでケンカをする際に、鞭のように振り回し相手を攻撃します。ケンカはおとなしいイメージのキリンから考えられないほどの迫力で首が相手にぶつかると「ドスン、ドスン」という鈍い音が響き渡ります。
このケンカはどちらかが倒れるまで続けられ、時には首の骨が折れ命を落とすこともあるようです。
キリンはかなりの高血圧

生活習慣の乱れや塩分の多い食事で高血圧に悩んでいる方もいるのではないでしょうか。
人間ではおよそ最高血圧が140、最低血圧が90未満の場合に高血圧とされていますが、キリンはその基準のはるか上を行く最高血圧260、最低血圧が160といわれています。
上述のとおりキリンの首は2メートルほどもあり心臓のある胴体から血液を押し上げるために血圧が高いのです。ほかにも脳底部に毛細血管が張り巡らされており、脳内に一定の血圧が維持される仕組みになっており脳貧を防いでいます。
一方で首を急に上げ下げすることで脳出血の危険があるように思いますが、首の血管内に弁がついており、血液の逆流を防止するのに役立っています。
他の動物にみられない、長い首という特徴をもっているキリンには他の動物には見られない特性を持っていました。首の秘密を知ることでキリンを観察するポイントも変わってくるのではないでしょうか。