
鮮やかなピンクの羽を持ち、エキゾチックな魅力を持つフラミンゴ。日本人にもなじみが深く、お店の名前に用いられることや米津玄師さんの曲としても有名です。動物園で目にした方も多い鳥ではないでしょうか。今回はそんなフラミンゴの片足立ちの理由や鮮やかな赤い色の理由など意外な生態についてご紹介していきたいと思います。
ホームラン王が例えられたフラミンゴの片足立ち

世界の王と呼ばれ、実に864本ものホームランを放ち、長嶋茂雄とともにプロ野球をけん引した王貞治。
世界記録を更新するほどのホームランを量産する原動力となった一本足打法は片足だけで立つ姿からフラミンゴ打法とも呼ばれ、ピンクレディーの大ヒット曲「サウスポー」の歌詞でも触れられています。
しかし、フラミンゴ打法の語源となった本家のフラミンゴはなぜ片足だけで立つのでしょうか。
近年まで考えられてい説は以下のとおりです。
フラミンゴは敵に襲われにくく、エサも豊富な水辺に群れを作って過ごすことが多いのですが、両足を水につけてしまうと体から熱が奪われやすく体力を消耗してしまいます。そのため片足で立ち、もう片方の足を温めることで体力の維持に努めているというわけです。加えて、交互に立つことで足の筋肉にかかる疲労を分散していると考えられてきました。
しかし、近年の研究から新たな事実が明らかになりました。フラミンゴの標本を使用した実験によるとフラミンゴの体の構造は片足立ちのほうが安定するということがわかりました。また、フラミンゴが両足で立っているときに比べて片足で立っているときの方がスムーズに動き出すことが確認されています。つまり、天敵に襲われた際に素早く逃げるために片足で過ごしているという側面が強いようです。
フラミンゴが赤い理由はザリガニと同じ

フラミンゴの大きな特徴は鮮やかなピンクの羽でしょう。ケニアのナクル湖などフラミンゴの群れが集まる観光地などでは一面ピンクに染まった美しい光景を見ることができます。
そんなフラミンゴのピンクの羽は繁殖に大きな役割を持っています。研究によるとフラミンゴはきれい体色を持つものほど、ペアを作りやすいこそうです。
フラミンゴの体色はエサに含まれている成分が影響しているといわれています。野生下のフラミンゴはプランクトンやスピルリナといった藻の一種をエサにしているのですがスピルリナにはベータカロテンやカンタキサンチンが多く含まれており、これを摂取することで、フラミンゴが鮮やかなピンク色になります。
動物園など飼育下でベータカロテンやカンタキサンチンの含むエサを摂取しないと、羽のピンク色が次第に薄くなっていくため、ピンク色を維持するためオキアミなどベータカロテンを含むエサを与えているそうです。
エサによって体色が赤くなる生物はフラミンゴだけではなく、ザリガニやロブスターもエサに含まれるカロチノイド(ベータカロテンもカロチノイドの一種)により鮮やかな赤色の体色となります。特にザリガニは飼育下で、カロチノイドの含まれないエサを与え続けることで体色が青くなることがわかっています。
フラミンゴのくちばしはよく見ると変わった形

フラミンゴは鮮やかな体色や特徴的な片足立ちという特徴に隠れがちですが、くちばしの形が大きくカーブをしている他に類を見ない形をしています。
ピンクの体色と対比になるような黒色でひらがなの「へ」に近い大きなカーブの独特な形のくちばしは足元の小魚やプランクトンを捕食するのに役立ちます。
しかし、フラミンゴがヒナの時点ではくちばしが真っ直ぐではたから見ると他の鳥との違いはわかりません。
フラミンゴはヒナを育ている際にフラミンゴミルクと呼ばれる栄養価の高い分泌液をヒナに与えるます。フラミンゴミルクは親鳥から口移しで与えるので、ヒナは受け取りやすい真っ直ぐな形のくちばしをしているのです。
いかがだったでしょうか。フラミンゴにはエキゾチックな雰囲気にふさわしく、ほかの鳥とは違った個性的な特徴があります。
鮮やかな色合いにだけではなく、その特徴についても注目してみてはいかがでしょうか。