
水族館でおなじみのイルカ。賢いうえに愛らしい見た目でまさに水族館を代表するスターです。
そんなイルカの仲間のなかでも日本近海に生息する代表的な種がスナメリです。今回は日本人にも愛されているスナメリについてご紹介していきたいと思います。
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瀬戸内海を代表する生き物スナメリ

冒頭でも触れた通りスナメリは日本近海に生息するイルカの仲間です。日本のほかにはインドや中国、インドネシアなどアジアの国々の沿岸に生息しています。
日本ではかつて瀬戸内海に多く生息しており、周辺地域では「ナメノウオ」や「ゼゴンドウ」という呼ばれ方をされています。
瀬戸内海周辺では1970年代には約5000頭ものスナメリが生息しており、現在もほぼ周年観察をすることができます。
瀬戸内海におけるスナメリは食物連鎖の頂点に君臨し、それゆえに汚染物質をためやすい傾向にあります。そのため瀬戸内海を生き生きと泳ぐスナメリの姿は瀬戸内海のきれいな海を象徴しているといっても過言ではありません。
大阪湾や千葉でも見られるスナメリ

スナメリの姿を見ることができるのは瀬戸内海だけではありません。大阪湾でもかつて多くのスナメリが生息していましたが、埋め立てや海洋汚染により姿を減らしました。しかし、現在でも岸和田市の沖から関西空港の南側にかけてスナメリを確認することができるようです。
また、千葉県銚子市は「スナメリに逢える街」を謳い、運が良ければ銚子ポートタワーからは海を泳ぐスナメリの姿を確認することができるそうです。
スナメリと水産資源保護

日本近海で広く確認されているスナメリですが実はその数は減少傾向にあるとみられています。
特に広島県阿波島の南端から半径1.5キロメートルの海域が「スナメリクジラの回遊海面」として1930年に国の天然記念物に指定されているほか、ワシントン条約でも保護され研究用以外での輸出入が禁止されています。
小さいけれどクジラの仲間スナメリの特徴

イルカの仲間であるスナメリはクジラ目ネズミイルカ科スナメリ属に分類される唯一の種です。
大きさはクジラ・イルカの仲間のなかではかなり小型で成体の大きさは1.5メートルから2メートルほどです。
スナメリは英語で「Finless porpoise」といい、日本語で「背びれのないイルカ」という名が表している通り細長い体に背びれはありません。
背びれの代わりに首の後ろから尾びれ間際にかけて、背中の正中線に沿って2,3センチの皮膚の突起が見られるのが大きな特徴です。この内部には多くの神経終末があり仲間とのコミュニケーションに役立っていると考えられています。
くちばしは見られず、顔はまるでニッコリと笑顔を作っているように見えます。
単独での行動のほか2~13ほどの範囲で群れを成して活動します。
日本でスナメリを見ることができる水族館

日本の沿岸に生息域を持つスナメリは国内の多くの水族館で姿を見ることができます。
代表的なものをいくつか紹介すると、宮城県の仙台うみの杜水族館では大水槽の中でほかの魚を追い回す様子を目にすることができます。
瀬戸内海にほど近い山口県下関市の海響館では、口から空気のリングを出す姿が話題になっています。
日本沿岸に生息するスナメリは多くの水族館で展示されていたり、観光資源になるなど日本人に愛される存在です。
自然環境に生息数が影響されやすいスナメリを守るためにも海の自然を守ることが大切です。