
世界中で大人気のゲームシリーズ「ポケットモンスター」その代表的なキャラクターであるピカチュウは体から電気を発し、敵を攻撃します。
実は自然界にもピカチュウのように電気を発することができる動物がいくつか存在しており、デンキウナギもその1つです。
今回はそんなデンキウナギの生態についてご紹介していきたいと思います。
デンキウナギが放電するメカニズム

デンキウナギの一番の特徴といえばその名が表すとおり、電気を発することができる点です。
デンキウナギはどのようにして体から電気を発することができるのでしょうか。
デンキウナギに限らず動物の細胞の内側にはプラスイオンであるカリウムイオンが細胞の外側にはマイナスイオンのナトリウムイオンが多数存在します。
これらは細胞の膜に隔てられており、バランスを保っているのですが刺激が加わることによって細胞膜のバランスが変わり、ナトリウムイオンが細胞膜内に入りやすくなり、細胞膜内の電圧が外部よりも高くなります。
デンキウナギ以外の動物もこのような形で電気を発生することができるのですが、デンキウナギはこのような細胞が規則正しく直列に並ぶ「発電板」と呼ばれる構造になっており、それぞれの細胞で生み出された小さな電気が失われることなく合わさり、強い電気を発生させることができます。この「発電板」はデンキウナギの全長の3分の2にもなります。
デンキウナギはワニを倒すほどの電気を発生させる理由

デンキウナギが電気を発生させるメカニズムにについて解説をしてきましたが、いったいどれほどの電気を発生させるのでしょうか。
デンキウナギが発生させる電気の電圧はおよそ800ボルト、電流は1アンペアになるといわれています。ただし、このデンキウナギが発生させる高電圧は約1000分の1秒しか持続しません。しかし「川を渡ろうとしたウマがデンキウナギを踏みつけショックで溺死した」という話があり、人間は電気で命を落とすことは考えにくいですが、失神させるには十分な威力を発揮させることができます。
2010年にはワニがデンキウナギを捕食しようと噛みついた瞬間放電をし、ショック状態に陥ってしまう動画が公開され話題を呼びました。
このようにデンキウナギは発生させる電気の強さが大きいため自分の身を守るためや周りを泳いでいる魚を発生させた電気により感電させ、捕食をすることにも電気を用いていますが、電気を発生させる主な理由は視力の弱いデンキウナギが周りに獲物や障害物がいないかを確かめるレーダーのような用途であると考えられています。
このように強い電気を発生させるデンキウナギですが、自分自身が感電してしまうことはないのでしょうか。
実はデンキウナギ自身も電気を発生している最中はわずかながら感電しており、放電中にたじろぐ姿も確認されています。ただし体の脂肪組織が絶縁体の働きをしており感電で命を落とすことはありません。
デンキウナギはおいしい?意外な味

日本でウナギといえば夏の土用に蒲焼やうな重などで食されるおなじみの味覚ですが、同じウナギの名を持つデンキウナギの味は美味なのでしょうか。
実際にデンキウナギを食べた記録を見てみると、体の大半を占めている発電器官は食べることができず、食用にする部分は脂肪が中心になるようです。肝心の味はブタの脂身に似たような味がするそうですが、脂身ということもあり大量に食べると飽きが来てしまうそうです。
日本で一般的に食べられているウナギと味の違いがあることから推測できる通りデンキウナギはウナギとは全く別の生き物です。
ウナギのような細長い見た目からウナギという名前がついていますが、デンキウナギは単独でデンキウナギ科に分類される生き物で実際にはナマズやコイなどに近い仲間とされています。
電気を発生させる生き物はデンキウナギのほかにもいくつか存在しますが、デンキウナギの発生させる電気の強さはやはり別格のようです。
東京都品川区のしながわ水族館や神奈川県藤沢市の新江ノ島水族館ではクリスマスのシーズンに電気ウナギの発電でクリスマスツリーさせるイベントが季節限定で行われるようです。