
みなさんはエランドをご存知でしょうか。アフリカに生息するレイヨウの仲間で、最大の大きさを持つ動物です。北海道から九州まで日本の多くの動物園で飼育されていますが、今ひとつ知名度の低いエランド。今回はそんなエランドについてご紹介していきたいと思います。
エランドの生息地と名前の意味

冒頭でも紹介したとおりエランドはアフリカに生息するレイヨウの仲間です。レイヨウとはウシ科の仲間のうち、ウシに近い仲間とヤギに近い仲間を除いたグループです。四肢が細く、体はシカに似ており速く走るのに適した体のつくりをしており、アンテロープとも呼ばれます。
代表的なレイヨウの仲間にはインパラやトムソンガゼルなどが挙げられます。
近縁種のジャイアントエランドを含むエランドはレイヨウの仲間で最大の動物で肩高は2メートル。体重の重いものは900キロにも達します。
エランドの生息地はアフリカの南部や東部の乾燥したサバンナが主な生息地です。
エランドはイランドとも呼ばれ、もともとオランダ語でヘラジカを意味するElandが名前の元になっています。
ヘラジカは北アメリカ大陸やユーラシア大陸の北部に広く生息している世界最大のシカの仲間で、大きさなどエランドともよく似ています。南アフリカを訪れたオランダ人がエランドの姿を見て呼び始めたようです。
大きな角を持つエランドは気性は穏やかだが攻撃性も

上でも触れている通り、エランドはレイヨウの仲間です。レイヨウの代表であるインパラやトムソンガゼルは大型肉食獣に襲われる弱いイメージがあります。大きな体を持つエランドに至っても性格は温厚でおとなしい傾向があるようです。
ただし、攻撃性が全くないわけでありません。
オスメスともに60センチを超える大きな角を持っており、子どもを守るために外敵に向かって角を使う姿も見られエランドを襲ったとみられるヒョウが角により返り討ちにあった事例も報告されています。
この大きな角は縄張り争いやオスがメスを取り合うために仲間同士で角をたてることがあります。
繁殖期のオスはかなり危険で過去にはイギリスの動物園で飼育員がエランドの角に突かれて命を落とした事故もあります。
温厚な性格からアメリカやウクライナなどでエランドを家畜として飼育する試みもありますが、その角と時折見せる攻撃性のため大きく成功しているわけではないようです。
オスはのどぶくろが特徴!意外に機敏なエランド

エランドの最大の特徴は上でも触れた大きな角ですが、オスのエランドには角のほかに大きなのどぶくろを持っています。こののどぶくろは「胸垂」と呼ばれて長い毛が生えています。ウシにも見られる特徴でエランドのオスの独特の威厳を醸しだしています。
また、エランドは大型でありながら他のレイヨウの仲間に負けず劣らず機敏です。特に跳躍力に優れており、後ろ足を使ったジャンプは1.5メートルほどの岩などは軽々ととびこえることができます。
機動性にも優れており、かかとが上がり2本の蹄で体重を支える構造から長い時間スピードを保って走ることができます。
おおきな体を持つエランドは動きもよく、角という武器もある、まさにオールマイティな動物です。
日本の多くの動物園でその姿を見ることができますので、その姿を実際に観察してみてはいかがでしょうか。