
私たちの身の回りにも多くの生き物が住んでいますが、ザリガニはそのなかでもポピュラーな存在ではないでしょうか。
子どものころ、近所の池などでザリガニを捕まえて飼育した経験がある方も多い思います。今回はそんな身近なザリガニについてご紹介していきたいと思います。
身近な甲殻類のザリガニはエビ?カニ?

カニの名前が付いているザリガニの特徴のひとつがは大きなハサミを手に持っていることです。このような特徴からザリガニはカニの仲間のような印象を受けますが、エビガニとよばっれることもあるザリガニの体のかたち自体はイセエビのようなエビの仲間のようにも思われます。
ザリガニはエビなのでしょうか、それともカニの仲間なのでしょうか。
生物学上の分類では、節足動物のうち甲殻類と呼ばれる、甲殻亜門のなかで、軟甲網・十脚目の動物のうち、カニ下目とヤドカリ下目というカニとヤドカリの仲間を除いたものをエビと分類します。ザリガニはザリガニ下目に分類されており、この定義からザリガニはエビの仲間に分類されています。
ちなみに高級食材としておなじみのロブスターはザリガニ下目に属しており、ウミザリガニとも呼ばれるザリガニの仲間です。
食べるとうまいザリガニの料理

上でも紹介した通り高級食材のロブスターもザリガニ仲間なのですが、ザリガニ自体も海外で食用にされている生き物です。スウェーデンでは夏の風物詩としてもおなじみで、スウェーデン発祥の家具量販店「IKEA」のレストランでは夏にザリガニメニューが登場すること定番になっています。
日本でもザリガニを食されており、日本の在来種である二ホンザリガニが大正天皇の即位儀礼に並んだり、ウチダザリガニは1920年代に食用として連れてこられたものが、野生化したというエピソードがあります。
ザリガニの最もポピュラーな調理方法は沸騰したお湯に塩を加えてゆでる塩ゆでが代表的です。ザリガニはそれほど大きくないため、可食部は少ないのですが、カニやエビに近い味がするそうです。
野生のザリガニの調理は寄生虫の危険も

世界的に食材として親しまれているザリガニは身の回りで簡単に捕まえることができる生き物でもあります。
しかし、現在食用として流通してるザリガニは養殖されているもので野生のザリガニが出回ることはありません。ザリガニは泥の中などを住処にしているため、場所によっては十分に泥を吐かせても臭みが残ってしまうためです。
また、野生下のザリガニには多くの寄生虫が付いています。たとえば「肺吸虫」と呼ばれる寄生虫はその名のとおり、肺に寄生し呼吸器疾患を引き起こすといわれています。
このほかにも人体に害を及ぼす寄生虫がザリガニについている場合があり、最悪な場合失明に至る危険性もあるそうです。
ザリガニ釣りは楽しいが飼育は禁止?

ここまででも何度か触れましたが、ザリガニは子どもでも簡単につかまえること ができる生き物です。
ザリガニ釣りには専門的な道具は特に必要なく、割りばしとタコ糸で作った簡易な釣竿でも釣ることができます。
ザリガニは植物性のエサも動物性のエサを食べるのですが、ザリガニを釣る場合にはにおいの強い動物性のスルメや煮干しなどがエサとして最適です。
ザリガニが冬眠をする冬を避ければこの方法でザリガニを簡単に捕まえることができます。
ただし、捕まえたザリガニを飼育することはできなくなる可能性もあります。2020年11月にアメリカザリガニと二ホンザリガニを除いたザリガニが特定外来生物に指定される見込みです。この背景にはペットとして遺棄された外来種のザリガニが媒介になり伝染病をもたらすことで日本固有のザリガニにも悪影響を与えることが懸念されたことがあり、正式に特定外来生物に指定された場合、飼育には許可が必要となります。もし無断で飼育をした場合には懲役1年以下もしくは100万円以下の罰金が科せられる可能性もあります。
私たちの身近に住んでいるザリガニですが、その取り巻く環境は大きく変わりつつあるようです。外来生物の影響は他の動物にもあり得ることです。どんな動物でも飼育には飼い主のモラルが求められています。