
生きた化石と呼ばれる動物はいくつかいますが、その代表ともいえるのはシーラカンスではないでしょうか。
一時は太古の昔に絶滅したと考えられていたシーラカンスですが、現在も立派に生存を続けています。
今回はそんなシーラカンスについてご紹介していきたいと思います。
世界的な発見だったシーラカンスの現存と生息していた時代

シーラカンスは生存を確認される以前から多くの化石が見つかっており、存在自体は広く知られていました。
シーラカンスの化石が出土したのは古生代デボン紀と呼ばれる時代の地層で、2億4000万年前に最盛期を迎えたといわれています。最も古い化石は中国の雲南省で発見されたもので、この化石は4億1700万年前ごろに生きていたものだと推測されています。
恐竜が出現したのが2億5000万年前といわれており、シーラカンスは恐竜よりも以前から姿を変えることなく生息していました。
シーラカンスの化石は恐竜が姿を消した6500万年前の大量絶滅期を境に化石の発掘はなく、恐竜とともに絶滅したと考えられていました。
シーラカンスの再発見

それまで絶滅していたと考えらえれていたシーラカンスが発見されたのは、第二次世界大戦が開戦する直前の1938年のことでした。
南アフリカのイーストロンドンにあるカルムナ川で珍しい魚が上がったと報告を受けた博物館員のラティマーは1.5メートルほどで足のようなヒレを持つ奇妙な魚を確認しました。
ラティマーは当初、メバルの仲間だと思われていたその魚のスケッチをロードス大学のスミス教授に送り、傷んでいた魚の一部を塩漬けの標本にしました。
スケッチを確認したスミス教授は絶滅したと考えられていたシーラカンスに特徴がよく似ていることに気が付き、現地で標本を確認したことでシーラカンスが現存していることを確認しました。
スミス教授はこの発見を科学雑誌「ネイチャー」に発表。世界中の生物学者は騒然としました。
肺を持つシーラカンスは両生類に進化?

上述した通り恐竜が出現する前の3億5000万年前から姿を変えていないシーラカンスはほかの魚にない特徴を持つ魚でもあります。
その最も変わった特徴はヒレです。
体から出ている胸ビレと腹ビレには、他の魚にない大きな骨と関節、それを取り巻ように筋肉がついています。この構造は原始的な両生類の足とよく似ており、シーラカンスは海底をヒレを使って歩くように泳ぎます。
背骨にも他の魚と異なる特徴があり、硬い背骨が存在せず代わりに脊柱と呼ばれる軟骨でできた油の詰まったホース状の器官が背骨の役割を果たしています。
このような特徴からシーラカンスは水中に生息する生物が陸上生活に移行する初期の段階の特徴を持っているのではないかと考えられています。
また、海の中で生活するシーラカンスはもちろんエラ呼吸ですが、進化の途中で使われなくなり退化したと思われる肺があることがわかりました。
この特徴から当初は陸に近い浅瀬に生息していたシーラカンスが大量絶滅期をきっかけに深海に住処を移し適応したのではないかという説も生まれています。
シーラカンスの生息地と名前の由来

シーラカンス学名を「ラティメリア・カルムナエ」といいます。この名前はシーラカンスを発見したラティマーと漁にかかったカルムナ川が由来となっています。
シーラカンスが発見されたのは上述のとおり、南アフリカでしたが他にもインドネシアでも生息が確認されています。
最初にシーラカンスが確認されてから14年後に2匹目が確認されたのは南アフリカのコロモ諸島。
ここでは、たびたびシーラカンスが漁師の網にかかることがあり、肉が水っぽくまずいため売れないシーラカンスは「役に立たない」という意味の「ゴンベッサ」と呼ばれていました。しかし、シーラカンス発見以降は釣りあげたシーラカンスが高く売れるようになったため「ゴンベッサ」は「幸せを呼ぶ」という意味に転じたそうです。
シーラカンスの生息数は厳密には不明ですが、コロモ諸島では1000匹程度と推測されており、絶縁の危機に瀕していると考えられています。
そのため、ワシントン条約によりシーラカンスの展示することは難しいのですが、国内では福島県のアクアマリンふくしまや静岡県の沼津港深海水族館で標本を見ることができます。
恐竜以前から地球上に存在していたシーラカンスは生き物の進化を解き明かす重要な存在でもあるようです。
何よりも生きた化石と呼ばれるシーラカンスは太古の昔を思い起こさせるロマンがあります。
[…] 古代か生存しているシーラカンスの名前の意味 […]