
大型のネコ科の肉食獣の中でも高い人気を誇るチーター。その魅力はやはり草原を駆け抜ける姿ではないでしょうか。走るスピードは陸上に住んでいる動物の中でもトップクラスの速さを誇ります。
今回はそんなチーターについてご紹介していきたいと思います。
最速を出すためのチーターの体の構造

冒頭でも紹介した通り、チーターの最大の魅力は走るスピードです。チーターの走る最高速度は諸説ありますが時速121キロにも到達といわれています。
ただし、チーターが最高速度を持続できるのは500メートルほどで、走ることができるのも20~30秒ほほどです。
チーターの走りの素晴らしい点は最高時速だけではなく、圧倒的な加速力です。最高速度に達するまでに要する時間はおよそ3秒で、この加速力はレーシングカーをこえるほどです。また時速100キロを超える速さでありながらほぼ瞬間的に止まることができるブレーキ力をあわせ持っています。
チーターの速さを支えているのは走るのに特化した体の構造です。頭が小さく「流線形」の形をしており空気抵抗を軽減しています。また、チーターの背骨は柔軟で走る際に丸めた体をばねのようにして勢いよく広げることで爆発的な脚力を生み出します。走る際の歩幅も広く、一足で7メートルほど進むことができます。
ネコ科の動物は爪を足の中に収納していますが、チーターは爪が引っ込みません。この爪が地面を引っ掛けるスパイクの役割をしているのです。
成功率は高い?低い?群れないチーターのスピードを生かした狩り

陸上動物随一のスプリンターであるチーターですが、狩りの成功率は40~50パーセントとされています。
上述のとおり、チーターは最高速度を持続する距離が限られており、獲物までの距離を一気に詰めるしかありません。
チーターの狩りは獲物を遠くから狙うのではなく、こちらの存在を悟られないように徐々に近づいていきます。ある程度の間合いになったところで一気に走りだし獲物を襲います。獲物に追いついたところで喉元に咬みつき、窒息させ動きを封じます。
チーターは頭が小さい分、相手を一撃で仕留めるほどの顎の強さを持っていません。そのため、動きを封じた獲物は茂みの中など安全な場所でゆっくりと味わいます。
以上のようにチーターは狩りを単独で行い、ライオンなどのように群れのチームプレーで狩りを行うことはありません。
成功率でを見ると低いように見えますが他のネコ科の肉食獣の狩りと比べてチーターの狩りの成功率は非常に高く、チーターはスピードを生かした優れたハンターであることがわかります。
かわいいチーターの赤ちゃんは天敵が多い

群れを作らないチーターの子育てはメスが担います。メスのチーターは1度に10匹の赤ちゃんを出産します。チーターの赤ちゃんは成獣に見られないたてがみがあり、色も黄色い成獣と歯異なり黒っぽい色をしています。これは天敵の多いチーターの赤ちゃんが身を隠すのに役立っています。チーターの赤ちゃんは天敵が多く、同じ肉食獣のヒョウやハイエナ、ライオンなどに襲われてしまいます。
特にライオンはチーターの成獣も襲われることもあり、8割のチーターの赤ちゃんはライオンに捕食されてしまうといわれています。
チーターの赤ちゃんが成長するにはほかに多くの試練があります。チーターは病気にかかりやすく、狩りで仕留めた獲物も他の肉食獣に横取りされてしまうことも多いため、病気や飢えで命を落とし、最終的に成獣になるのは5パーセントほどといわれています。
チーターの性格は繊細でおとなしい

ライオンやトラなど大型のネコ科の肉食獣は猛獣として凶暴なイメージが持たれています。
しかし実際のチーターの性格はおとなしく繊細なのだそうです。
チーターは自分よりも大きな動物を襲うことはなく、人間を襲うこともありません。逆に人間に対して恐れをなしているような様子さえ見せます。
このような繊細な性格は成獣になるの割合が低いことが関係しているのかもしれません。
人間になれたチーターは人にもなつくようで、古代エジプトではチーターをペットとして飼育していた様子が壁画に残されています。
まさに走ることに特化したようなチーターですが、その勇敢な姿とは対照的に弱さを併せ持つ肉食獣であることがわかりました。
日本では100頭ほどが動物園で飼育されていますが、チーターを観察する目も変わってくるのではないでしょうか。