
波止場で釣りの経験がある方は一度はゴンズイの名前を聞いたことがあるのではないでしょうか。比較的沿岸に近い海域に住んでおり、きれいなラインの入った姿やナマズによく似たとぼけた雰囲気からは想像がつかない恐ろしい特徴を持った魚でもあります。今回はそんなゴンズイの危険性を生態とともにご紹介していきたいと思います。
危ない魚と呼ばれるゴンズイの特徴

堤防釣りの外道としてよく知られているゴンズイ。夜行性の性質を持っているため、夜釣りでは特によく釣ることができます。大きな特徴は体に見られる白いラインと口の付近に見られるヒゲです。この口ひげや姿からわかるようにゴンズイはナマズの仲間で、別名としてアカナマズという呼び名もあります。
多くのナマズの仲間が淡水に生息する一方でゴンズイは海に生息する海水魚です。
そんなゴンズイですが、見かけたり釣り上げた際には注意が必要です。実はゴンズイは強い毒を持った魚でもあるのです。
釣り人の中ではゴンズイの毒はハオコゼやオニオコゼなどに並ぶ毒を持つ魚として注意の対象になっています。
ゴンズイの毒性はフグのような食べると当たる毒ではなく、ハチのように刺されることで影響を受ける毒で、この点は上で紹介したハオコゼ、オニオコゼの毒性と共通しています。
ゴンズイの持つ毒と対処法

危険な毒を持つゴンズイですが、釣ってしまった場合にどんな点を気をつければよいのでしょうか。
ゴンズイは背びれと胸びれ付近に毒とげを持っており、このとげに刺されると毒が回ってしまいます。このとげに刺されると、まずは激しい痛みに襲われます。時間が経過すると次第に刺された部分は赤く腫れたりしびれが出てきます。症状がこれで収まればよいのですが、ひどい場合には吐き気や下痢のほか、呼吸困難といった症状が出てしまい刺された患部の壊死や命を落とすこともあるそうです。
また、ゴンズイの体をおおう粘液にもとげに含まれる毒の成分が確認されており、人間がこの粘液を口にすると嘔吐の症状が出ると考えられています。
ゴンズイの毒は生きている時だけではなく、息が絶えても毒の成分が残るため釣り上げてから時間がたったからといって油断はできません。
ゴンズイを扱う際は手の小さな傷口から毒の粘液が入り込んでしまう危険性もあるので手袋をはめて毒とげをハサミなどを使って処理をするなどするとよいでしょう。
注意を払ってもゴンズイの毒とげに触れてしまった際にはどのように対処すればよいのでしょうか。まずはできるだけ早く応急処置をする必要があります。
傷口を流水で洗って毒を洗い流しましょう。患部にはとげが刺さっている場合もありますのでその場合はピンセットを使って確実にとげを抜いておきます。
毒は口で吸出したり、しぼりだして毒をぬいて消毒を行います。
また、ゴンズイの毒はたんぱく毒であるために高熱で不活化します。お湯につけると痛みを緩和することができます。屋外などお湯が用意できない場合は自動販売機で温かい飲み物を購入し、患部を温めましょう。
もちろん、できるだけ早く医療機関を受診することも大切なポイントです。
日本では広い地域でイソメをエサに釣れるゴンズイ

釣りをする人にとっては、なじみ深い魚であるゴンズイですが、日本では本州の中部以南から沖縄まで広い地域で釣ることができます。主に太平洋側に多く生息をしており、能登半島より南の日本海側にはあまり生息をしていません。
世界に目を向けてみると太平洋のほかにインド洋にも同族の仲間が分布しています。
ここまで何度か触れましたが沿岸に近い岩礁付近などに多く生息をしており、イソメやオキアミといった一般的なエサで釣ることが可能です。
世界中に数多く生息する魚ですが、命を奪うほどの毒性を持つ魚の数は限られています。
釣りをされる方は危険なゴンズイの取り扱いは気を付けて行ってください。