
堤防釣りをする方には同じみの魚のゴンズイ。日本の沿岸に広く生息するナマズの仲間です。非常に危険な毒を持つため、敬遠をされることも多いのですが、その味を求めて狙って釣る方もいるそうです。今回はゴンズイの食文化を中心にご紹介していきたいと思います。
まるで高級魚?ゴンズイの味

釣りをする方には広く知られているゴンズイ。外道とされている魚ですが、実は食べてみるとおいしいという声もあるようです。
実はゴンズイはグロテスクな見た目と強い毒を持っているという特徴から食用としては敬遠されていますが、オーストラリアなどの地域では高級魚としても流通しているそうです。
ゴンズイの調理前の処理

日本ではゴンズイはなかなか市場で流通をしていないため、食べるためには自分で釣り上げる必要があります。
ゴンズイは夜行性であることに加えて群れで活動する習性があるため、堤防などでの夜釣りでは比較的簡単に釣り上げることができます。
ゴンズイを食用にする場合、釣り上げてからすぐに毒のあるとげを処理する必要があります。
処理をする際には手袋などで手を守りながらとげをひれごとハサミで除去します。ゴンズイは体に鱗がなくぬめりがあるため、とげの除去には細心の注意が必要です。とげに刺さるリスクを避けるため、背びれの後ろ部分から頭ごと切り落とす方法もあります。
とげの処理が終わったら他の魚と同じように内臓の処理を行って持ち帰り、調理の際に血合いをしっかりと洗浄して水気をふき取り調理を行います。
かぼちゃとよく合うゴンズイの料理

ゴンズイの毒は絶命した後も体内に残っていますが、熱を通すことで分解されるため食ベる際にはしっかりと火を通すことをオススメします。
ゴンズイの代表的な料理はみそ汁です。調理法は至ってシンプルで、お湯の中にぶつ切りにしたゴンズイを投入し味噌を溶いて煮込みというもの。ポイントはゴンズイと一緒に切ったカボチャを入れて煮込むことです。出汁はゴンズイから出るほかに、ゴンズイの脂とカボチャの甘味が溶けあい上品な味わいとなります。
また、ゴンズイはクセのない白身魚であることから油で揚げる天ぷらでもおいしく食べることができます。特に、皮ぎしの身にうまみが強くカワハギやキスといった魚よりも美味とする人もいるほどです。少々小ぶりですがゴンズイの肉質は蒲焼にも向いており香ばしく焼き上げるとウナギにも負けず劣らずの味わいとなります。
稚魚はフェロモンでゴンズイ玉になる

上でも少し触れた通り、ゴンズイは群れで行動する習性があるため、一度釣れ始めると入れ食いのような状態で大量のゴンズイを釣ることができます。
特にゴンズイの稚魚は群れでまとまって行動する傾向がとても強く、ほかの魚が同じ方向に向かって一斉に泳ぐ姿のに対して、ゴンズイはお互いの体に触れるほど押し合いながら密着して泳ぎます。
ゴンズイがまとまって泳ぐ姿はまるでボールのように見えることから「ゴンズイ玉」とも呼ばれています。
なぜ、ゴンズイたちはこのような特異なまとまりで行動をするのでしょうか。ゴンズイたちはゴンズイ玉を作ることによって大きな魚に見せかけることで外敵から襲われることを防ぐという、絵本「スイミー」さながらの理由があるのです。
ゴンズイたちがここまで密集した集団を作ることができる理由はフェロモンにあります。
ゴンズイたちの体からは集団で集まろうとする「集団フェロモン」と呼ばれる化学物質が発せられ、触発されたゴンズイたちがゴンズイ玉を作るのです。
夜行性のゴンズイたちが、視界の悪い夜の海でコミュニケーションをとる重要な要素となっています。
外道として有名なゴンズイですが調理の下処理の手間はあるものの、おいしさは確かなようです。群れで行動するため釣りやすくもあるゴンズイを狙ってみてはいかがでしょうか。