
一見すると体が非常に大きなネコのようですが、どことなくクマのような雰囲気もあるビントロング。英語では「ベアキャット」と呼ばれ日本語での別名も「クマネコ」という珍しい動物ですが、今回はこのビントロングの特徴など生態についてご紹介していきたいと思います。
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ビントロングの生息地は森の中!人気の珈琲も

クマネコとも呼ばれるビントロングはクマのように森林に生息をしています。ビントロングの分布はインドの北部やネパール、ミャンマー、ブータンなど東アジアに位置する国々やインドネシア、タイ、フィリピン、マレーシアといった東南アジアです。
ビントロングはいくつかの亜種が存在し、生息する国や島によって特徴が微妙に異なるようです。
ビントロング上記のように密林や深い森林にすんでいます。夜行性の動物で昼間は洞窟などで寝ています。
ビントロングの生息地であるインドネシアにはコピ・ルアクという珈琲があります。このコピ・ルアクは世界一高価な珈琲としても知られていますが、その製法は独特でジャコウネコにコーヒーチェリーと呼ばれる珈琲の完熟した実を食べさせ、排泄したフンから未消化の珈琲の実を洗浄、精製したのち焙煎して作ります。
このような過程を経て作られるため量産ができないことがコピ・ルアクが世界一高価といわれる所以で100グラム5000円は当たりまえ、高級品は10万円を超えるものもあります。
ビントロングはジャコウネコ科に属する動物で、コピ・ルアクをビントロングから生成するケースもあります。
しかし、このコピ・ルアクの生成のため野生のビントロングが捕獲され、小さな檻など劣悪な環境の中で強制的にコーヒーチェリーを食べさせられていることが問題にもなっています。
ビントロングのにおいはポップコーン

ビントロングの特徴として真っ先に挙げられるのはその匂いではないでしょうか。ビントロングはアーモンドや熱々のバターポップコーンというような形容をされます。
ジャコウネコの仲間であるビントロングは肛門付近に臭腺と呼ばれる部分があります。ここから分泌されるにおいを木にこすりつけて縄張りの主張や異性を引き付けるために使用するのですが、このにおいが微生物と反応することでポップコーンやアーモンドのような香ばしいにおいを生むのです。
一説には発生したにおいの成分とポップコーンの香りの成分を比べてみるとほとんど同じものであるという報告もあります。
その説によるとトウモロコシがポップコーンになる過程で高温により生成されたにおい物質と同じものが偶然にもビントロングの体内に住む最近によって合成されることがポップコーンの香りを生む理由と考えられています。
ビントロングは少数の群れで暮らし尾を使って木登り

クマのようなビントロングですが、ネコのようにも見える理由のひとるが長い尾ではないでしょうか。
ビントロングの長い尾はかなりの筋肉質で木の上で暮らすビントロングたちは尾を巧みに使ってバランスを取るだけではなく、木の枝に尾を巻き付けて木から木へと移動をすることも可能なのです。他に尾を使い気にぶら下がることもできるなど、他の哺乳類ではなかなか見ることのできない特徴を持っています。
通常は単独あるいは少数の群れを使って暮らしており、上述のように臭いで縄張りを主張しますが、そこまで強い主張ではなく普段はお互いの領域を侵さないように過ごしています。
性格は荒いがペットにできるほどなついてくる?

クマネコとも呼ばれているビントロングですが、ネコの名前が示している通り人間のペットとして買うことはできるのでしょうか。
ビントロングの性格は本来であれば荒い性格をしているのですが、子供の頃から飼育をすると人間によくなれるとも言われています。
そうなると気になるのが人間のペットとして飼育ができるのかどうかですが、ビントロングをペットとして飼育することはできません。ビントロングは現在、住処である森林の破壊が進んでおり数を減らしているため絶滅の心配がされています。ワシントン条約でも取引が禁止されていることからペットとして飼育することは現実的には難しいようです。
ポップコーンやアーモンドのようなにおいを発し、珈琲の製造にも深いかかわりを持ったビントロングは意外と人間の食卓に近い動物なのかもしれません。そんなビントロングは日本では神奈川県の横浜八景島シーパラダイスや山口県の秋吉台自然動物公園サファリランド、愛知県の東山動物園などで実際に見ることができます。ぜひ一度その独特なにおいを体験してみてはいかがでしょうか。