
昼間の空を自由に飛び回るのは鳥たちですが、夜の空を飛び回る生き物といえばコウモリです。
そのようなイメージからなんとなく不気味な印象を持たれているコウモリですが、実際のコウモリは怖い生き物なのでしょうか。今回は身近なですが、意外と知らないことも多いコウモリについてご紹介していきたいと思います。
鳥のようなコウモリは歩くのが苦手

翼を持つ体の見た目や、夜の空を飛ぶ姿からコウモリは鳥の仲間のように見えなくもありません。
コウモリは鳥の仲間なのでしょうか。
鳥の仲間は子供が卵から生まれます卵生ですが、コウモリは母親が子供を産み落とす胎生です。加えて母乳で子どもを育てることからコウモリは哺乳類に分類されています。
加えて、鳥の仲間は羽毛に覆われていますが、コウモリは翼に羽毛を持っていません。
鳥が空を飛ぶために様々な形態の羽毛を用いて浮き上がる揚力や前に進む推進力を作り出しており、羽毛を持つ翼は空を飛ぶのに欠かせない要素です。
一方でコウモリの翼は飛膜と呼ばれる伸縮性に富んだ膜で構成されており、この飛膜内の筋肉を細かく伸縮させることで空を飛ぶことができます。
空を飛ぶ姿をよく見かける、コウモリですが地面を歩く姿を見たという人はあまりいないのではないでしょうか。
コウモリは歩くことが苦手で後ろ足の筋肉は衰えているため、立ち上がることすらできません。ただし、ニュージーランドに生息するツギホコウモリと南アメリカ大陸に生息するナミチスイコウモリの2種類は地上を機敏に這うように歩き回ることができます。
歩くコウモリは非常に珍しく世界中に1000種類近く存在するといわれるコウモリのうちこの2種のみに見られる特徴です。
まるで吸血鬼?予想以上にデカい世界最大のコウモリと最小のコウモリ

上でも少し触れた通りコウモリの種類は大変多く、世界中に1000種類近くも存在しています。
そんなコウモリの3分の1がアジアに生息しており、世界最大のコウモリも世界最小のコウモリもアジア地域に生息しています。
世界最小のコウモリはタイ西部やミャンマーに生息する「キティブタバナコウモリ」です。キティブタバナコウモリは体長3センチほどで日本にも生息するトウキョウトガリネズミと並んで世界最小の哺乳類としても知られています。
世界最大のコウモリはフィリピンに生息するフィリピンオオコウモリで、翼を広げた大きさは2メートル近くにも達し、まるで人間が変装しているかのような印象を受けます。
危ない食べ物?コウモリのスープ

夜の空を飛ぶ姿からどことなく不気味なイメージを持っているコウモリですが、広い地域で食用として親しまれています。食用のコウモリはオオコウモリの仲間であるフルーツコウモリが一般的で、アジアやアフリカではカレー料理として食されています。
中国や太平洋のミクロネシア連邦に属するパラオではコウモリをスープにして食します。中国ではコウモリは縁起物として考えられており、四川料理ではカを食べたコウモリの糞から未消化のカの目玉を取り出し、スープにした「夜明砂のスープ」は最高の珍味とされています。
パラオのコウモリのスープはコウモリがそのままの姿でスープに入っており強烈な姿をしております。
ただし、野生のコウモリは様々な感染症を媒介していると考えられており、欧米ではコウモリに咬まれたことで狂犬病を発症することも度々あります。
2020年にパラオのコウモリスープを食す動画が中国人の「ゲテモノ食い」として拡散され、新型コロナウィルスが流行する一因になったと炎上する事態が起きましたが、関連性は明らかになっていません。
世界中に生息しており、実は都会でも簡単に目にすることができるコウモリですが、種類や人々との関わりのなかで意外な一面も見えてきました。
街でコウモリを見かけた際にはそんなコウモリに思いを馳せてみてはいかがでしょうか。