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シーモンキー育成でおなじみアルテミアは生きた化石

投稿日:2019年12月24日 更新日:

アルテミア

水の中に粉末を入れるだけで数日後には小さな生き物が生まれる「シーモンキー」お手軽に飼育ができるペットとして、手にした方も多いのではないでしょうか。
このシーモンキーの正体はアルテミアと呼ばれる生き物です。今回はこのアルテミアの生態やブームの背景を中心にご紹介していきたいと思います。

アルテミアはエビの仲間の甲殻類

アルテミアはエビなど甲殻類の一種

アルテミアは商品名である「シーモンキー」という名前とパッケージの独特のイラストの印象が強いですが、実物の姿とはかなりのギャップがあります。アルテミアはいったいどんな生き物なのでしょうか。
アルテミアは「ブラインシュリンプ」とも呼ばれておりエビやカニの仲間である甲殻類の一種とされています。もちろんサルの仲間ではありません。
アルテミアの生息地は幅広く、世界各地に分布しているのですが特にアメリカやヨーロッパの塩田に多く生息しています。
アルテミアは淡水から通常の3倍程度の塩分濃度の環境でも耐えることが可能です。例えばウズベキスタンのアラル海は塩分濃度が1リットル当たり00グラムを超える過酷な環境から通常の魚は生息することができないのですが、アルテミアは生息することができます。
また、アメリカの塩湖ボンネビル・ソルトフラッツでは大量のアルテミアが生息していることで有名ですが、大量繁殖後にその多くが腐敗するためひどい悪臭を放つことでも有名です。

手品用品だった?シーモンキーことアルテミアの育成キット

アルテミア

アルテミアが広く知られるようになったのは納富から繰り返し触れている通り、「シーモンキー」として育成キットが販売されるようになったことではないでしょうか。
テレビアニメ「ちびまる子ちゃん」でも主人公のまる子が東京で流行っているペットとしてシーモンキーを飼育するエピソードがあります。
当初は「インスタント・ライフ」という商品名で雑誌での通信販売のほか、玩具店でも広く販売をされていたそうです。
シーモンキーの開発者はアメリカの元マジシャンであるハロルド・ボン・ブロンハット。日本での発売は手品用品販売で有名な株式会社テンヨーであることから、当初はマジック玩具という側面が強かったのではないかという向きもあります。
ただし、この時期の株式会社テンヨーは「株式会社天洋」から商号を変更した直後であり、シーモンキーが発売された1971年から2年後のジグソーパズルの輸入販売を開始し普及に力を入れていた経緯もあることから、シーモンキーは手品用品が中心だったテンヨーのラインナップを拡大した最初の商品だったのではないでしょうか。

アルテミアは古代から姿の変わらない生きた化石

アルテミアは生きた化石といわれている

アルテミアは育成キットの説明文にもあるようにはるか昔から姿が変わっていない生きた化石と呼ばれています。
アルテミアは背骨がなく外骨格というからを持つ節足動物で、彼らは恐竜が誕生する前から生息していたと考えられています。
アルテミアが地球上に登場したのは数億年前の古生代に遡ります。アルテミアがこの長い年月を生き残ることができたの過酷な環境に対応できる特徴があります。
アルテミアは環境が生育に適している場合にはメスの育房の中から直接、幼生が誕生するのですが、環境が過酷な場合は耐久卵を産み、周囲が生育に適した環境に変化するまで長い期間耐え忍ぶのです。この性質をうまく生かしたのが製品化されたシーモンキーというわけです。

昭和の時代に大きく話題になったシーモンキーですが、環境に適応するためのアルテミアの生きるための知恵をうまく生かした商品だったようです。現在でもネット通販を中心にアルテミアの育成キットは販売されていますので一度手に取ってみてはいかがでしょうか。

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