
恐竜が姿を現すもう少し前の時代、地球のほとんどを海洋が覆いつくしていたころに様々な海洋生物が反映していました。
そんな時代を代表する生物がアノマロカリスです。今回は絶滅をしてから長い年月を経た現在でも根強い人気を誇るアノマロカリスについてご紹介していきたいと思います。
アノマロカリスの発見と名前の由来

アノマロカリスの化石が初めて発掘されたのは19世紀の終わりのこと。カナダでアノマロカリスの化石が発見されましたが、その時点で発掘されていたのは触手の一部でしかも腐食が進んでいたもので当時はエビの仲間と考えられていました。その後、口や顎に胴体と次々にバラバラになった各パーツが発見されましたが、同じ動物の一部とは気が付かれず、それぞれクラゲの仲間、ナマコの仲間と思われていました。
その後、時は流れ1970年代に発掘された化石についてケンブリッジ大学のハリー・ウィッテントンらが再検討を行った結果、「エビ」「クラゲ」「ナマコ」と思われていた化石は実は1体の巨大な生物であることがわかりました。
19世紀、クラゲと考えられていた化石には「ペイトイア」。新種のナマコと考えられていた化石は「ラガニア」。最初に発見された触手の部分はエビの仲間と考えられましたが、通常エビに見られる消化管がないことから”奇妙なエビ”という意味の「アノマロカリス」という名が与えられました。その後1985年になってこれらが1つになった巨大生物に改めて「アノマロカリス」という名前が与えられました。
アノマロカリスは巨大で肉食だが味も最高?

上でも紹介した通り最初に確認されたアノマロカリスは考古学者の想定を超えた大きさでした。アノマロカリスの生息していた古生代カンブリア紀という時代は現在と比べてほとんどの生物が小型で魚の仲間にはわずか数センチの大きさしかないものもいました。
そんな環境の中でアノマロカリスの体長は1メートル程度で近年では2メートルを超えるものも見つかっています。
古生代カンブリア紀はそれまでの時代に比べて生物の種類や個体数が爆発的に増えた「カンブリア爆発」が起こった時代といても知られていますが、アノマロカリスはその時代の生態系の頂点に君臨していた生物なのです。
アノマロカリスは肉食性で触手を使い硬い三葉虫をとらえ、「輪切りのパイナップル」のような口で嚙み砕いて捕食していたと考えられています。
一方、現在は姿を消してしまったアノマロカリスの味を確かめる術はありませんが、2011年にモロッコ南東部で発見された大型のアノマロカリスについてイェール大学ピーボディ自然史博物館のデレク・ブリックは冗談交じりに「これほど大きなエビなら、軍隊を1カ月でもまかなえただろう。巨大で、しかも間違いなくかなりの美味だったはずだ」とコメントしています。
絶滅したアノマロカリスの生き残りはスカイフィッシュ

1995年に偶然撮影され、一躍話題になった未確認生物「スカイフィッシュ」。主にメキシコのサン・ルイシ・ポトシに存在する世界最大の縦穴洞窟ゴロンドリーナス洞窟で撮影されるといわれてます。
実はこのスカイフィッシュはアノマロカリスの生き残りではないかという説があります。
映像解析されたスカイフィッシュは棒状の体の側面にヒレがついている形状をしていると考えられ、アノマロカリスの体の形状によく似ていると考えられたためです。加えてゴロンドーリナスは地下で海につながっているとも言われており、この地でながい年月をかけアノマロカリスがスカイフィッシュに進化したとまことしやかにささやかれています。
ただし、近年の検証でスカイフィッシュの正体はハエやカなどの虫の残像という見方が主流となっています。
古代生物の中でも人気と知名度の高いアノマロカリス。スカイフィッシュに進化したという説は一見、突飛なようですがその人気とロマンゆえ唱えられたのではないでしょうか。