
広大なアメリカの大地に似合う野性味あふれる動物といえば、アメリバイソンではないでしょうか。アメリカの人々、特に先住民のネイティブアメリカンにとってもアメリバイソンは重要な存在だったようです。今回はそんなアメリバイソンについてご紹介していきたいと思います。
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大陸最大級のアメリカバイソンの生息地

名前にアメリカの入っているアメリカバイソン。アメリカバッファローという別名もあるのですが、もちろんその生息地はアメリカ合衆国中西部です。ほかにもカナダの西部に生息しています。特にロッキー山系東方に広がる大平原グレートプレーンズを象徴する動物がアメリバイソンで、西部開拓時代には6000万頭もの個体が生息していたといわれています。ただし、イエローストーン公園とウッドバッファロー公園を除いて野生個体群は絶滅してしまっており、保護活動によって増やされた個体を野生に復帰させる取り組みがなされています。
広大な大地に生息するアメリカバイソンは大きさも圧倒的です。肩までの高さは1.5メートルから2メートル。体長は2メートルから3.5メートル。体重は900キロほどでオスの大型のものでは1400キロにもなるといわれ、北アメリカ大陸に生息する動物の中で最重量を誇ります。
アメリカバイソンはネイティブアメリカンに欠かせない存在

アメリカバイソンが数多く生息していたグレートプレーンズにもネイティブアメリカンの人々は生活していました。
ネイティブアメリカンの生活にとってアメリカバイソンの存在は欠かすことのできないものでした。
ネイティブアメリカンの経済活動はアメリカバイソンの狩猟に依存しており、その肉は食用に毛皮は衣服やテント、骨は矢じりに活用するなど余すことなく活用されていました。
巨体を持つアメリカバイソンの狩猟は一筋縄ではいかなかったようで弓矢で群れを追い込み崖の下へ落とすという狩猟方法をとっていました。
絶滅の危機から復活をしたアメリカバイソン

上で触れましたが、かつてグレートプレーンズに6000万頭もの個体数が存在していたアメリカバイソンですが、野生の個体群が生息するのはイエローストーン公園とウッドバッファロー公園のみとなっています。
アメリカバイソンの個体数が減少した理由は人間による狩猟が原因です。19世紀半ばにはいり入植してきた開拓者が食用やハンティングを目的に乱獲されたほか、アメリカ政府に抵抗していたネイティブアメリカンを入植者の統治下に組み込むため、生活の基盤となっていたアメリバイソンが徹底的に駆除されました。
1902年にはイエローストーン公園の個体数は20頭ほどまでに落ち込みましたが1905年にアメリカバイソン協会が発足されるなど保護活動が行われたことや繫殖力の旺盛さにより個体数は回復しています。
アメリカバイソンの性格とみられる動物園

900キロもの巨体を持つアメリカバイソンですが、その性格は臆病でおとなしい性格で、人間に対しても警戒心が強いようです。また、巨体にも関わらず脚力に優れており、走るスピードは時速65キロにも達し垂直飛びで1.8メートルもの高さをジャンプすることができます。
そんなアメリバイソンですが日本でも多くの動物園で姿を見ることができ、北海道でのおびひろ動物園、東北では盛岡市動物園や岩手サファリパーク、関東では上野動物園や群馬サファリパーク、東海は東山動物園。関西・中国地方では兵庫県の姫路セントラルパークや岡山県の池田動物園。九州では大分県の九州自然動物公園や宮崎県のフェニックス自然動物園など全国でその姿を見ることができます。
なんといっても、静岡県では日本平動物園をはじめ富士サファリパーク、浜松動物園と県内3つの動物園で飼育されています。
2016年に当時の大統領バラク・オバマはアメリバイソンを国の哺乳類に指定するバイソン遺産法を制定しました。
名前の中にアメリカを持つアメリカバイソンはよくも悪くもアメリカの歴史を体現する生き物だったのではないでしょうか。